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テーマ : 熱海市

伊豆山港にカフェ開店 熱海土石流、復興向け「恩返し」 ダイバー飯塚さん

 熱海市伊豆山の大規模土石流から2年3カ月が経過した3日、被災地の伊豆山港を拠点に活動するダイバー飯塚広海さん(55)が港内にカフェを開店した。10代の頃から通い続ける伊豆山の海と人にほれ込み、9月末に東京から移住した。復旧復興を目指す伊豆山の一員として「微力ながら恩返しを」と意気込む。

伊豆山港に開店したカフェ。「被災地復興の一助に」とダイビング客を誘客する=3日午前、熱海市伊豆山
伊豆山港に開店したカフェ。「被災地復興の一助に」とダイビング客を誘客する=3日午前、熱海市伊豆山

 飯塚さんは16歳の時、伊豆山漁業会の松本早人代表(48)の祖父が操業していた船で海に繰り出し、ダイビングの資格を取得した。以来、自宅がある都内から伊豆山港にたびたび足を運び、ダイビング客を案内してきた。土石流の発生後、被災した港の再興に向けて懸命に取り組む漁師の姿を見て、「復興に少しでも貢献したい」とカフェ開店を決意した。
 トレーラーハウス構造のカフェは「小さな楽園」を意味する「Tiny Avalon(タイニー・アバロン)」と名付けた。伊豆山港に水揚げされる海産物の創作料理に加え、地元の焙煎(ばいせん)士が手がける「伊豆山ブレンドコーヒー」などを提供する。伊豆山名物のサザエやイセエビを味わえるバーベキュー体験も、店のインスタグラムから要予約で受け付ける。
 飯塚さんによると、伊豆山港発のダイビング客は年間500人程度で、20年前のピーク時と比べ4分の1に減った。ただ、伊豆山沖は多種多様のソフトコーラルや魚群を観賞できる県内有数のダイビングスポットで、飯塚さんは「首都圏から近い地の利がある」とアピールする。土石流の影響で全壊した港内のシャワー・更衣室が伊豆山漁業会などの尽力で2月に再建されるなど、誘客促進に向けた環境整備も進んでいる。
警戒区域解除後 6世帯12人帰還  地域力の維持課題  熱海市伊豆山の土石流被災地に設定されていた「警戒区域」の解除から1カ月が経過した9月末までに、区域内で倒壊を免れ、ライフラインの復旧した住宅に6世帯12人が帰還した。ライフラインは12月1日までに区域内の全棟で復旧する予定だが、生活基盤となる河川と道路の整備については途上の段階。整備の遅れは帰還率の低下を招く恐れがあり、地域の活力維持が今後の課題になる。
 市によると、9月20日現在で避難生活を送るのは89世帯159人で、このうち38世帯76人が帰還を希望。31世帯47人が区域外再建を望み、20世帯36人が未定と回答している。土砂が流れ下った逢初(あいぞめ)川の流域で2024年度中を目標に、県が河川整備、市が両岸に市道整備をそれぞれ完了する計画だ。
 一方で、河川と市道の整備に要する用地買収は3~4割程度にとどまり、一部では地権者交渉が滞っている。市と県は10月中に伊豆山の各地で小規模説明会を開始し、整備事業への理解を求める方針。

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