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テーマ : 熱海市

熱海土石流の教訓胸に対策や提言 日本住宅会議がセミナー

 熱海市伊豆山で発生した大規模土石流の問題点や復旧復興の在り方などを考えるセミナー(日本住宅会議主催)が3日、同市昭和町の起雲閣で開かれた。被災者や有識者、静岡新聞記者がパネリストを務め、熱海土石流を教訓とした対策や提言を発表した。

熱海土石流の問題点や復旧復興の在り方などを考えた日本住宅会議のセミナー=3日午後、熱海市の起雲閣
熱海土石流の問題点や復旧復興の在り方などを考えた日本住宅会議のセミナー=3日午後、熱海市の起雲閣

 この日は土石流発生から2年2カ月の節目。自宅が全壊した被災者の太田滋さんは市内のホテルで避難所生活を送った当時の状況を振り返った。「住まいと食事は困らなかったが、隣で生活する人が誰か分からなかった。避難者はお客になってしまい、避難所運営を行政に任せてしまった」と述べ、復旧復興に向けて住民の連帯感を早期に醸成すべきだったと悔やんだ。
 大規模土石流は逢初(あいぞめ)川源頭部の盛り土が2キロ下流の伊豆山港にまで流れ下り、28人の命を奪った。国土問題研究会の大豊英則さんは、熱海土石流を機に制定された盛り土規制法だけでは「土石流災害の根絶は不可能」と指摘。依然、縦割り行政の弊害があるとして「土砂災害に関連するあらゆる法制度、所管庁を網羅統合する枠組みが必要」と訴えた。
 土石流の発生当初から取材活動を続ける本社政治部の豊竹喬記者は、長期連載「残土の闇 警告・伊豆山」の記事や写真を使い、被災地の現状や行政対応の問題点を解説した。「残土の発生から処分までをコントロールする仕組みが必要。行政と住民が悪質な乱開発を許さない積極姿勢が求められる」と提言した。
 (熱海支局・鈴木文之)

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