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テーマ : 熱海市

静岡県勢力士、飛躍の1年締めくくり 2人の富士、賜杯今度こそ 12日から大相撲九州場所【しずスポ】

 霊峰「富士」をしこ名に抱く2人の県勢力士が、角界の頂に迫っている。ともに飛龍高出身で伊勢ケ浜部屋の翠富士(本名・庵原一成)が春場所、熱海富士(本名・武井朔太郎)が秋場所で優勝争いを演じた。そろって番付を上げて迎える九州場所は12日が初日。飛躍の1年を締めくくる土俵で県勢初の賜杯に手を掛けるか。  技と闘志光る小兵 翠富士 photo03 出身地焼津での大相撲秋巡業で大声援を受けた翠富士=市総合体育館(写真部・坂本豊)
 幕内最軽量115キロながら卓越した技術と闘争心で大型力士と渡り合う。小兵・翠富士の相撲は好角家の心をつかむ。進化を示したのが春場所だ。初日から破竹の10連勝。そこから5連敗で優勝には届かなかったが、地道な肉体強化が実り前に出る圧力が増した。
 その後の2場所は負け越し、秋場所も7日目を終え2勝5敗。だが、ここから熱海富士の躍進に呼応するように千秋楽まで八つの白星を積み上げた。このうち5勝が代名詞の「肩透かし」と必殺技の切れ味も増す。弟弟子の活躍には「うれしかったが、悔しさもあった。抜かれないように頑張る」。西前頭5枚目で迎える九州場所。優勝戦線に顔を出せば、県勢として戦後初の三役昇進を狙える位置が見えてくる。  181キロ正攻法の巨漢 熱海富士 photo03 優勝争いを演じた秋場所直後の凱旋(がいせん)巡業で迫力の取り組みを見せた熱海富士=焼津市総合体育館
 新入幕の昨年九州場所で4勝11敗とはね返された熱海富士が、見違える姿で幕内に帰ってきた。181キロの巨漢を生かした正攻法の四つ相撲はそのままに、立ち合いは低く、鋭さを増し、馬力にも磨きが掛かった。秋場所は優勝決定戦で大関貴景勝の変化に屈したが、千秋楽まで単独首位を走って土俵を沸かせ敢闘賞。間違いなく秋の主役を張った。
 成長の裏には、伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)や同部屋の兄弟子も認める猛稽古があった。だが、「普段通り稽古しているだけ。(なぜ強くなったか)はっきり分からない」とけろりと言い切るところに、相撲への並々ならぬ姿勢がにじむ。チャーミングな笑顔で人気を博すが、「かっこいいとも思ってもらいたい」と若者らしい一面ものぞかせる21歳。番付も自己最高位の西前頭8枚目に上がり、再び頂点に迫る日はそう遠くない。
 (運動部・山本一真)

 みどりふじ・かずなり 1996年8月30日、焼津市出身。飛龍高で全国高校総体団体3位になり、伊勢ケ浜部屋に入門。20年春場所で新十両となり、同九州場所で十両優勝。21年初場所で新入幕を果たすと9勝6敗で技能賞を獲得した。得意技は肩透かし。最高位は前頭筆頭。174センチ、115キロ。27歳。

 あたみふじ・さくたろう 2002年9月3日生まれ。小学2年で千葉県から熱海市に移り住み、小6で三島相撲クラブに入会。飛龍高から伊勢ケ浜部屋に入門し、20年九州場所の初土俵から、22年春場所で新十両、同九州場所で新入幕とスピード出世を続けた。23年夏場所で十両優勝して再入幕し、秋場所は11勝4敗で敢闘賞。得意技は右四つ。186センチ、181キロ。21歳。

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