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テーマ : 熱海市

熱海・逢初川 道路河川の整備2年遅れ 完工時期26年度末に

 熱海市伊豆山で2021年7月に発生した大規模土石流の復旧復興事業で、市と静岡県は22日、被災地の逢初(あいぞめ)川中流域で進めている道路河川の整備工事について、完了時期を当初予定より2年延長して2026年度末に変更する方針を明らかにした。工事区間内に鉄道を有するJRとの協議や、一部の用地買収に時間を要していることを主な要因に挙げた。

土石流被災地に整備する道路河川の完工時期が2年延長されると示された懇話会=22日午後、熱海市役所
土石流被災地に整備する道路河川の完工時期が2年延長されると示された懇話会=22日午後、熱海市役所

 復興に関する二つの現行計画に住民意見を反映させる第2回懇話会が同日、市役所で開かれ、市と県が計画の変更案を示した。東海道線と東海道新幹線をくぐる道路河川の施工箇所で、列車の安全運行を確保する観点から、JR東日本、JR東海と工事設計の協議を継続中だと説明した。道路河川の整備に要する用地買収も市が6割、県が5割にとどまり、当初計画通りの完工は困難と判断した。
 当初は24年度末までに県が逢初川の拡幅工事、市が両岸に市道整備を終える計画だった。懇話会委員の1人で、土石流の倒壊被害を免れた自宅に今月帰還した中島秀人さんは「(基盤整備が完了しないと)帰還を判断できない人もいる」と被災者の思いを代弁した。土石流の発生から2年8カ月が経過した自宅周辺の状況を「草が生え、廃虚街のよう。照明が少なくて暗い」と表現し、行政対応を要望した。
 斉藤栄市長は取材に「河川道路の完成時期は後ろになるが、1日でも早くとの思い。ご考慮をお願いしたい」と理解を求めた。市は事業の工程や費用を個別に記した新たな計画案も懇話会に提示。委員の意見を踏まえ、5月に予定する庁内会議で計三つの復興計画を正式決定するとしている。
 (熱海支局・鈴木文之)

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