大相撲春場所(11日目) 新入幕・尊富士 11連勝 「初日から」大鵬以来
大相撲春場所11日目(20日・エディオンアリーナ大阪)は、新入幕の尊富士が新大関琴ノ若を寄り切り、11連勝で単独首位を堅持した。1場所15日制が定着した1949年夏場所以降、新入幕の初日から11連勝は60年初場所の大鵬に並ぶ最長記録。琴ノ若は3敗目を喫した。平幕大の里は大関貴景勝を押し出して2敗を守った。貴景勝は4敗目。
他の2大関は豊昇龍が関脇大栄翔を突き落として勝ち越し。霧島は関脇若元春に寄り切られて負け越しが決まった。来場所は2度目のかど番となる。
熱海富士(熱海市出身)はつり出しで宇良を、翠富士(焼津市出身)は肩透かしで正代を破った。
全勝の尊富士を2差で大の里が追う。
(共同)
◇全勝 尊富士
◇2敗 大の里
(共同)
琴若に万全の寄り
騒然とする館内でも表情を崩さず、勝ち名乗りを受けた。新入幕の尊富士が琴ノ若に快勝。初めての大関戦でもひるまず、連勝を11に伸ばして「うれしい。流れが良かった」。上位陣の中で最も安定感があった新大関をも、勢いそのままに撃破した。
快進撃を支えてきた鋭い出足は懐の深い琴ノ若に受け止められ、いったんは土俵際まで後退した。それでも慌てず、中に入って反撃。最後は右の差し手を返して万全の寄り。「イメージ通りにならないと思った。とにかく自分を信じた」。引き出しの多さを見せた相撲。敗れた琴ノ若は「切り替える」と言うしかなかった。
新入幕力士の初日からの11連勝は、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降では60年初場所の大鵬以来となる歴代1位タイ。昭和の大横綱のイメージを問われると、「王鵬関のおじいちゃん」と平成生まれの24歳は笑顔で答える。「皆さんの記憶に残るような相撲を取りたい」と理想を語った。
2敗は大の里だけとなり、残りは4日間。110年ぶりの新入幕優勝も現実味を帯びてきたが、「全く(意識していない)。しっかりやるだけ」。無欲で快挙に挑む。
(時事)
霧島 負け越し
霧島は覇気がなく、あっさりと負け越しが決まった。若元春に得意の左四つを許すと一気に寄り切られた。場所前の稽古量が不十分だったと反省しきりで「これから直していくしかない」と淡々と話した。来場所は昨年秋場所以来のかど番となる。
4月に日本相撲協会の定年を迎える師匠の陸奥親方(元大関霧島)とともに闘う最後の場所。「次の場所につなげていくしかない。これもいい経験」と下は向かなかった。
(共同)
白星黒星
○…翠富士(弟弟子の尊富士の助言に従い、3日連続の肩透かしで勝利)「『今日もいけるんじゃないですか』と。勝ってる人の言うことは聞くもんですね」
●…錦木(初日の金星から10連敗)「しゃれにならない。場所前が全盛期だった。お酒の飲み過ぎなのかな」
(共同)