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テーマ : 熱海市

大自在(1月5日)規正と規制

 「規制法」と名の付く法律は多い。いずれも略称だが、2000年制定のストーカー規制法や20年制定のハラスメント規制法。昨年5月には多くの命を奪った熱海市の土石流災害を受けて盛り土規制法が施行された。
 ストーカーやハラスメントとは異なり、盛り土自体は正当な行為である。危険な盛り土を防ぐために新たに規制法が作られた。政治活動の資金集めも認められた行為で、さまざまな規制が設けられているが、なぜか「規制法」ではなく「規正法」である。
 政治資金規正法は政治資金の透明化を図るため、1948年に制定された。「規正」は規則に従って悪い点を正しく改めること―などと辞書にある。「政治とカネ」の問題は後を絶たない。法律を作るのが国会議員の仕事。自ら政治資金を悪用すると想定していたのか。
 規正法は、政治資金を「民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財」と定義する。その上で「政治資金の収受に当たっては、いやしくも国民の疑惑を招くことがないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない」と自戒を求める。
 政治家のすべてが規正法のこの条文を改めて読み返すべきだ。「国民の浄財」という意識が念頭にあるとは思えない。法施行以来、「国民の疑惑」が途絶えたことはない。
 ザル法といわれる規正法。もはや政治家に自浄作用は期待できない。規正法改正の話が出ているが、既に抜け穴を考えているのではと疑ってしまう。どんな規制も受け入れる覚悟があるなら、規制法に改称してはいかが。

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