記者コラム「清流」 かわいくて強い力士に
大相撲九州場所で秋場所に続き優勝争いを演じ、2場所連続で敢闘賞を受賞した熱海富士。出身地の熱海市に凱旋(がいせん)した時の取材で、初めて本人を目の当たりにした。
終始、くしゃくしゃの笑顔を振りまいていた。年配の女性からは「かわいい」「愛してる」との声も。その度に大きな背中を丸め、会釈を繰り返す熱海富士の姿が印象的だった。
「優しくて力持ち」「謙虚で正直」。熱海富士を幼い頃から知る関係者を取材すると、ほぼ決まってこう返ってくる。変わらぬ立ち居振る舞いがファンの心をつかんでいるのだろう。
21歳の若い力士の知名度は全国区になりつつある。次こそ幕内優勝か、それとも三役昇進が先か。来年は人気だけでなく、真の実力を兼ね備えた「強い熱海富士」を見てみたい。
(熱海支局・鈴木文之)