テーマ : 議会しずおか

女性議員増加へ政党の熱意薄く 静岡市、政令市議会で唯一の10%未満

 静岡市議会(定数48)に女性を増やすために活動する市民グループ「市政を身近に考える会」が、同市に拠点を持つ政党の支部や県連を対象に実施したアンケートで、女性議員増加に向けた積極的な対策を「講じている」としたのは、回答した8組織中3組織にとどまることが分かった。同市議会の女性議員は現職47人に対し3人、女性割合は6・4%と政令市中最低で、同会は「政党としての熱意を感じられない結果」と分析している。

直近の市議選当選者に占める女性割合(政令市)
直近の市議選当選者に占める女性割合(政令市)
女性議員を増やすポジティブアクションを講じているか?
女性議員を増やすポジティブアクションを講じているか?
直近の市議選当選者に占める女性割合(政令市)
女性議員を増やすポジティブアクションを講じているか?

回答組織 半数超「積極策講じず」 市民グループアンケート
 アンケートは今年7~9月、過去の同市議選で公認や推薦候補を出した実績のある国政政党の支部などを対象に実施。2025年春の次期市議選を前に、地方議会で男女の候補者数を均等にすることを目指す「政治分野における男女共同参画推進法」(18年施行)を踏まえた不均衡是正の対策について尋ねた。同法は、政党に候補者の男女均等化に向けた努力を求めている。回答したのは自民、公明、共産、立憲民主、国民民主の各党の地方組織(回答順)で、自民は市内4支部がそれぞれ答えた。
 女性が立候補しやすくするポジティブアクション(積極的是正措置)を講じているかとの問いに、「講じている」と回答したのは、公明、共産、立民の3組織。自民静岡、清水、由比、蒲原の4支部と国民は「講じていない」と答えた。ポジティブアクションの内容(複数回答)は「党主導で女性候補者を選ぶ」が共通し、立民は「女性候補者数の目標値を定め、党本部主導で公募している」とした。
 女性の政治参画を進める上で必要な制度改革(複数回答)として、多くが「中高生に有権者教育をする」「地域活動に女性の役員を増やす」を選んだ。公明、共産、立民は、候補者のうち一定の人数や割合を女性に割り当てる「クオータ制」導入を選択に入れた。
 考える会は市内の有志が昨年5月に結成し、人材発掘を目的に講座を開くなどしてきた。大国田鶴子代表(78)は「女性議員を増やすための具体的な記述がほとんどなく残念」と結果を受け止め、「全国や県内の自治体で女性議員が増える中、静岡市の現状は看過できない。有権者を含めて関心を醸成したい」と話す。
 (生活報道部・西條朋子)

際立つ少なさ 識者「問題共有を」 立候補の支援と人材発掘提言  全国の政令市議会の中で、静岡市の女性議員割合は際立って低い。各政令市の直近の市議選の当選者に占める女性の割合を比較すると、20政令市のうち10%に満たないのは静岡市のみ。札幌市と浜松市では30%を超え、全体の7割で20%を上回る。
 静岡大の井柳美紀教授(政治学)は「なぜ静岡市だけが突出して低いのか、関係者は問題を共有する必要がある」と指摘する。
 市政を身近に考える会によるアンケートの自由記述では「女性の政治参加はもっとあるべき」(自民党静岡市清水支部)などと是正の必要性を認識しながら、有効な対策を見いだせない様子もうかがえた。
 井柳教授は「市議候補を組織的に擁立する政党は限られていて、政党の努力のみでは女性を増やせない状況がある」としつつも、「現にこれだけ女性議員が少ない中では、党派を問わず女性が立候補しやすい支援態勢を作り、地域社会から積極的に人材を発掘していくべき」と提言した。

いい茶0

議会しずおかの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞