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相談窓口設置、点検を継続 市町への権限移譲で静岡県が新たな方針案

 静岡県は、市町への新たな「権限移譲方針」の案をまとめ、県議会総務委員会に報告した。市町の移譲事務に対し、県が積極的に支援する姿勢を打ち出し、事務別の相談窓口設置や継続的な点検を明示した。熱海市の土石流災害で浮かび上がった市町の移譲事務の課題を踏まえた対応で、県地方分権改革推進本部会議の承認を得て、月内にも正式に決定する。

 県は2000年度以降、212法令の2851事務を市町に権限移譲した。22年度までは8次にわたる推進計画で目標を定めてきたが、同計画に代わる方針案で県の姿勢を示す。
 県市町行財政課は、市町が希望する事務権限はおおむね移譲され、県への希望が減少傾向にあることから、移譲は一定水準に達したと判断した。方針案は従来提示してきた移譲推進の姿勢に加え、市町の移譲事務が有効に機能することを重視し、そのための県の支援を明確にした。
 具体的には、移譲事務の的確・円滑な執行に向けた「県の積極的な支援」を「理念」の項目に記し、理念実現のための「方策」として、市町からの事務返還を含めた事務権限の執行体制見直しのほか、県所管部署への相談窓口設置、継続的な点検を盛り込んだ。
 市町の新たな権限移譲の希望や、事例の少なかった事務返還などについては県が柔軟に対応していく。
 方針案策定の背景には、21年7月に熱海市伊豆山で発生した大規模土石流災害を巡る第三者検証委員会の指摘がある。県が同市に移譲した00年の県土採取等規制条例、06年の都市計画区域の開発許可について、事務対応の疑義と点検の必要性を指摘された。これを受けて県は22年9月から23年4月にかけて市町の執行状況の緊急点検を初めて実施した。その結果、不適切処理が38件確認された。
 政令市を除く33市町の執行体制点検では、1自治体で、専用水道の立ち入り検査事務で専門職員が配置できないなどの不備が判明した。新方針策定に先立ち、県は同自治体から事務返還の手続きを進めている。
 (政治部・青島英治)

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