テーマ : 気象・災害

南海トラフ地震臨時情報 発生確率認識 国と国民で差 関西大チーム調査 「空振り前提 防災を」

 南海トラフで巨大地震が起き、さらなる地震の可能性が高まったとして国が「臨時情報(巨大地震警戒)」を発表した際、どの程度の確率で1週間以内に大地震が起こると思うかを尋ねたところ、8割超の人が国の想定(約7%)を大きく上回る25%以上の高確率で起こると答えたとの調査結果を、関西大のチームが30日までにまとめた。国の想定と同程度とした人は1割に満たなかった。

巨大地震警戒で、1週間以内に大地震が起こると思う確率
巨大地震警戒で、1週間以内に大地震が起こると思う確率

 国は情報が出ても大地震が起きないこともあるとするが、そのことを「知らない」とした人も半数以上いた。チームの林能成関西大教授は「情報の意味が正しく伝わっていない。『空振り』が圧倒的に多いということを前提に、地域に合わせた防災行動を考え直す必要がある」としている。
 巨大地震警戒は、南海トラフ巨大地震の想定震源域でマグニチュード(M)8・0以上の地震が起き、さらにM8・0以上の後発地震の恐れがある場合に発表される。国のまとめでは、1回目の地震後1週間以内に連動して大きな地震が起きたケースは過去に103回中7回あり、警戒情報はこの頻度を前提としている。臨時情報の中で最も危険度が高く、一部の地域の住民には1週間の「事前避難」が求められる。
 しかし調査では、80%の確率で大地震が起こると分かっていても、避難所や親戚宅などに避難すると答えたのは3割弱にとどまった。確率が国の想定に近い5~10%の場合、避難する人は1割にも満たず、3~4割は「何もしない」と答えた。
 事前避難では社員の避難による企業活動の停滞や交通機関の運休などが想定され、林教授は負の側面も大きいと指摘。「避難の手順を考えておく、安全な場所で寝るなど、日頃の備えによる防災、減災効果が大きいことを国は伝える必要がある」としている。
 調査は7月、東京、静岡、愛知など地震の影響が懸念される8都府県の3200人にインターネットで行った。11月2日に横浜市で開かれる日本地震学会で発表する。

 南海トラフ地震臨時情報 東海沖から九州沖にかけての海底に延びる南海トラフ沿いでマグニチュード(M)6・8以上の地震が発生したり、異常な地殻変動が起きたりした場合に、気象庁はまず「調査中」とする臨時情報を発表。有識者会議で影響を評価する。地震がプレート境界で起き、実際にはM8・0以上だった場合に「巨大地震警戒」、M7・0以上やプレート境界ではないM8・0以上などの場合は「巨大地震注意」を追加で発表する。2019年に運用を開始した。

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