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政府の少子化対策 静岡県内28首長「評価」 増税賛否 27人 明言避ける

 共同通信が24日までに全国の自治体の首長を対象に実施した少子化問題に関するアンケートで、静岡県と県内35市町の計36自治体のうち、28自治体(78%)が政府の少子化対策を評価すると回答した。対策の財源に充てるための増税に対する賛否は、27自治体(75%)が「どちらとも言えない」とし、明言を避けた。自治体単独で対策に取り組む限界や安定した財源の確保を課題に挙げる首長が多く、国主導による施策の推進の必要性を求めた。
Q.政府の少子化対策を評価しますか、Q.望ましいと考える財源は(最大2つまで)
 調査では全1788自治体の首長のうち、1681人から回答を得た。県内は全36人が答えた。
 本県の首長の回答を見ると、政府の少子化対策を「評価する」としたのは3自治体、「どちらかといえば評価する」は25自治体。「どちらかといえば評価しない」は6自治体で、「評価しない」はなかった。「その他」としたのは2自治体だった。
 国の「こども未来戦略方針」で、集中的に実施するとした施策のうち、評価できるものを複数回答で聞くと、「奨学金制度の充実」が23自治体、「男性育休の取得推進」が20自治体、「児童手当拡充」が19自治体だった。評価できない施策は「特にない」とする自治体が多かったが、親の就労の有無にかかわらず保育園を利用できる「こども誰でも通園制度」を選んだ首長が11人いた。
 少子化対策に有効な取り組み(複数回答)は「賃上げ」が20自治体と最多で、「若い世代が金銭的、時間的に余裕を持つことが必要」(沼津市長)、「高等教育にお金がかかり、子を持つことに躊躇(ちゅうちょ)する」(掛川市長)などが理由に上がった。
 独自に取り組む対策があるかとの問いには、ほとんどの自治体が実施しているとし、第2子以降の保育料無償化や不妊治療の補助などを挙げた。ただ、「効果を感じている施策がある」としたのは6自治体にとどまり、「効果はまだはっきりしないが、手応えを感じている施策がある」が15自治体、「効果を感じている施策は今のところない」が11自治体だった。
 少子化対策の課題としては、「財政力のある自治体は手厚い支援を展開しているが、この現状では子育て世帯の奪い合いを生じさせる」(伊豆の国市長)、「社会全体で子育てするための財源不足」(島田市長)などが上がった。
 (政治部・池谷遥子)
全国 予算倍増方針 65%「評価」 共同通信調べ  共同通信が全国の都道府県知事と市区町村長に行った少子化対策のアンケートで、65%が子ども関連予算の倍増など政府方針を評価すると回答したことが24日、分かった。望ましい財源を二つまで聞くと、公務員給与や議員定数の削減などによる「国、地方の行財政改革」が21%で最多、政府が公的医療保険を想定する「社会保険料に上乗せ」は9%と支持が最も低かった。
政府の少子化対策の子ども関連予算倍増などの方針
 少子化に歯止めがかからない現状への自治体の強い危機感が背景にあり、政府は財源を確保して確実に実施することが求められる。
 アンケートは7~8月、政府が6月にまとめた少子化対策について、47都道府県と1741市区町村の全首長を対象に実施。94%に当たる1681人から回答を得た。
 評価する政策を三つまで聞くと、大学生ら向けの「奨学金制度の充実」が59%、「児童手当の拡充」が56%で多かった。
 政府は、社会保険料への上乗せのほか、医療や介護の歳出改革などで財源を確保し、現在5兆円弱の予算を2030年代初頭までに倍増させる意向。この方針を「評価する」は8%、「どちらかといえば評価する」は58%だった。理由は「規模や時期が明示された」が43%で最も多かった。
 「評価しない」「どちらかといえば評価しない」は計25%。理由は、財源確保策に関し、保険料上乗せの金額や歳出改革のメニューなど「詳細が示されていない」が59%でトップだった。
 望ましい財源は、行財政改革に次いで「法人税に上乗せ」が20%。「医療や介護といった社会保障分野の歳出削減」が19%、児童手当などの財源に充当している「企業の子ども・子育て拠出金引き上げ」と、国などの借金となる「公債発行」が各17%だった。
 国とは別に、独自に少子化対策を行っている自治体は多い。自由記述で内容を尋ねたところ、不妊治療費補助のほか、子どもの医療費や給食費の無料化が目立った。
財源 「社保分野の歳出削減」最多  全国の自治体の首長に行ったアンケートで、少子化対策に充てるための望ましい財源の確保について最大二つまで尋ねると、静岡県首長の回答は、「医療介護など社会保障分野の歳出削減」が10自治体と最も多く、「所得税に上乗せ」が8自治体と続いた。「その他」と回答したのは11自治体で、「複数の方法で行うべき」(静岡市長)、「幅広い財源から検討する必要がある」(菊川市長)など、特定の財源にこだわらない確保策が必要とする意見も上がった。
 「消費増税」を選んだ首長も5人いたが、現時点で増税に「賛成」としたのは伊豆市長のみ。理由は「少子化は最重要課題。現世代が負担すべき」だとした。増税反対は8自治体で、残りの27自治体は「どちらとも言えない」とし、慎重な姿勢がうかがえた。
 医療や介護の歳出改革で財源を確保し、予算を倍増させるとする国の意向については、「評価する」とした自治体はなかったものの、予算の規模が明示されたなどとして21自治体が「どちらかといえば評価する」とした。一方、詳細が不明確などとして、11自治体が「どちらかといえば評価しない」「評価しない」と回答。4自治体が「その他」と答え、「個々の施策にかかる歳出予算や地方負担が明確でない」(知事)などを理由に挙げた。

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