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医療×福祉×司法 専門家がタッグ 生活相談会、静岡県内に広がり

 「離婚したいが、困窮しそう」「相続で親族ともめている」「新型コロナの後遺症で生活がままならない」―。生活上のさまざまな困り事に、医療、福祉、司法の専門職がタッグを組んで応じる相談会が、静岡市清水区を中心に県東部や西部地域でも展開されている。複数の専門職が一堂に会し、問題を多面的に捉えて解決を目指すのが特徴で、県内外からの視察が相次ぐなど注目を集める。

清水医師会大会議室で開かれた「なんでもかんでも相談会」の事前打ち合わせ。オンラインでサテライト会場とも結ぶ=静岡市清水区の清水保健福祉センター
清水医師会大会議室で開かれた「なんでもかんでも相談会」の事前打ち合わせ。オンラインでサテライト会場とも結ぶ=静岡市清水区の清水保健福祉センター


 「医療・福祉・司法なんでもかんでも相談会」(静岡市清水医師会主催)は2016年度に清水区で始まり、本年度で8年目。コロナ下にビデオ会議システムを活用し始めたことで、21年から県東部や西部にサテライト会場を設け、相談会を同時開催するようになった。本年度は計6回、各回5会場で開催する。
 主会場の清水保健福祉センターには毎回、医師や歯科医師、弁護士、社会保険労務士、通訳などの有志50~60人が参加。相談者が来場すると、各ブースで社会福祉士や精神保健福祉士が2人一組で悩みを聞き取り、内容に応じて待機する複数の専門職が加わる。サテライト会場でも相談者への聞き取りの後、清水会場などの専門職がオンラインで助言するケースもある。
 「困り事の背景には精神疾患や障害、家族全体の問題が複雑に絡み合っていることが少なくない」と話すのは、相談会を運営する同医師会総合相談部長の安藤千晶さん。相談会の後は関係機関などと調整し、経過を継続的に確認している。
 相談会に積極的に関わる専門職有志は11年から月1回、同区で開かれてきた「銀さら勉強会」のメンバー。職種の違いを超えて交流し、普段の業務で連携を深めてきた。当時、安藤さんらが携わっていた生活困窮者の支援窓口に寄せられる複雑な相談に、一度に多職種で対応したいと考えて始まったのが「なんでもかんでも相談会」だった。「相談会には社会情勢を反映した最新の事例が集まる。それらに対応することで、各専門職のスキルアップも図られている」(安藤さん)という。
 サテライト会場を設けたため、県内各地の幅広い年齢層からさまざまな相談が寄せられるようになった。安藤さんは「相談者の困り事の解決には、各居住地の支援者との緊密な連携が欠かせない」と語り、より幅広いネットワークの構築に意欲を見せる。

 次回の相談会は7月8日午後1時半から、清水保健福祉センター、菊川市総合保健福祉センター、県下田総合庁舎、東伊豆町立図書館、伊豆市修善寺生きいきプラザ。予約制、無料。問い合わせは清水医師会相談室<電054(344)0550>へ。

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