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千葉山(島田市) 手軽に歩ける丁仏参道【山ある記】

  島田市街地の北にそびえる千葉山(496メートル)は街地から見上げる最初の高みであり、大津、伊太など北部の谷[や]の根っこにあって、手軽に歩ける“ウラヤマ”の遊び場となっている。山腹には多くの文化財を有する古刹[こさつ]・智満寺[ちまんじ]が鎮座し、古くからあがめられてきた。そうした信仰の道の痕跡として、大津・尾川と伊太・田代から丁仏参道が延びている。

市街地の北にそびえる千葉山(中央奥)=島田市
市街地の北にそびえる千葉山(中央奥)=島田市
市街地の北にそびえる千葉山(中央奥)=島田市

 尾川丁仏参道は、江戸時代後期に西国三十三所を模して開かれた。昨春、地元大津自治会の尽力で丁仏(石仏)の土台を修繕、参道が整備された。他のハイカーと行き交うこともまれな静かな山道で、石仏の表情を見比べながら歩くのも面白い。
 九丁目・茶畑展望地、椎[しい]の木坂、亀石と進んでいくと三十三丁目で智満寺門前に出る。伊太丁仏参道は、智満寺本堂前を南西にトラバースしていくと、島田の街を見下ろす展望地を経て「どうだん原」に至る。一帯にはドウダンツツジが群生し、春の開花期、秋の紅葉期ともに素晴らしい。ここから伊太最奥の田代集落に下りるのが本来の道だが、今は日帰り温泉施設に下りて汗を流す人も多い。
 奥の院(山頂)には国指定天然記念物の「智満寺の十本スギ」があり、その巨樹の存在感には圧倒される。残念なことに、奥の院への参道は登山やハイキング目的では通行禁止とされている。かつて島田の子供たちは皆、千葉山へ遠足で登ったものだった。境内や山頂の周りをただ遊び回っていたのだが、その中でえたいの知れないモノを畏怖[いふ]する心や、生まれ育った場所への愛着といったものが生まれた気がする。
 (島田ハイキングクラブ・田中元)

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