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【2024注目予算】菊川市 菊川茶の海外輸出 専用ページ 販売推進

 市役所で開かれた菊川茶の海外輸出に向けた打ち合わせは、前向きな言葉が目立った。「菊川茶が持つ地理的表示(GI)と健康ブーム。海外で戦えないわけがない」。菊川市茶業振興課の増田健人課長は強気の姿勢を崩さず、佐川急便菊川営業所の石井隆亮所長代理は「茶の海外需要はすごい角度で増えている。GIは一つの大きな評価基準だ」と応じた。

打ち合わせをする市職員や佐川急便の担当者ら=菊川市役所
打ち合わせをする市職員や佐川急便の担当者ら=菊川市役所

 市の主要産業である茶業は、長引く茶価低迷や担い手不足など厳しい環境が続いている。市は「稼げる産業」に再興するために2023年12月、流通大手の同社と連携協定を結び、海外輸出推進へ大きくかじを切った。同社は世界にバイヤーの会員を持つ中国電子商取引(EC)大手「アリババ」への出品、翻訳や商談、輸送を支援する。
 市は24年度一般会計当初予算に、菊川茶の海外輸出支援やGIのPR活動などを含む茶業推進事業に計1700万円を計上した。市と佐川急便、アリババは5月の開設を目指して専用ページを作成中。購入履歴などから需要を把握し、生産者や茶商が参加する協議会で共有する。データを分析して生産方法や包装などに反映させる。市は生産者らに出品を呼びかけ、すでに26生産者が参加を決めた。
 出品を決めている西方茶農協の杉本敏秀組合長(59)は「経費高騰もあり生産者がどんどん減る中での取り組みに歓迎している。海外で緑茶ファンが増えるきっかけになってほしい」と話す。
記者の目 関係者と密に連携を  菊川茶の海外輸出は一部の茶商の先駆的な取り組みに委ねられてきた。多くの生産者にとっては海外需要の高まりに応えたくてもノウハウが乏しいのが現状。茶業者の販路拡大に向けて、市が主導して道筋を示し、ひな型をつくった。自治体と流通大手が連携した振興策は珍しく、起爆剤となることが期待される。
 購買データは関係者で共有し、ニーズの把握と活用に役立てる。どれだけ需要に応えられるかが事業成功の鍵になりそうだ。海外需要が高い有機茶の生産農家は市内で少数だが、旺盛な需要がデータで裏付けられれば有機栽培への転換に踏み切る生産者が増える可能性もある。
 市は生産者や茶商だけでなく、新たに加わった流通系企業とも密に連携することが必要だ。そうすればGI認知度のある海外でブレークし、日本でも菊川茶が注目され国内需要拡大につながるかもしれない。
 (掛川支局・山本萌絵佳)

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