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菊川市 産業支援センター開設 創業・承継へ出会いの場【未来につなぐ 遠州7市町23年度予算案⑥】

 「資金、物件、工事、手続き-。初めて店を開業するのにわからないことがたくさんあった」。昨年3月、菊川市本所に「食事処8ct(やから)」を開店した和久田大悟さん(35)と藤原未央さん(42)は準備に明け暮れた当時を振り返る。物件探しに1年要したことや、開業資金が試算より200万円増えたことなど、想定外の出来事の連続だった。

店の開業に必要だった書類を見返す藤原さん=菊川市本所
店の開業に必要だった書類を見返す藤原さん=菊川市本所

 頼りにしたのは市主催の創業支援セミナー。セミナー後も講師の中小企業診断士に何度も相談し、必要な資格や書類の書き方を教わった。まもなく営業開始から1年を迎え、今求めるのは経営者のつながりや専門職によるアフターフォロー。「開業前はたくさんの支援があったが、その後は自分たちだけで悩む機会が増えた。新たに挑戦したいこともあるので気軽に相談できる場がほしい」と切れ目のない支援を訴える。
 市は2023年度、創業や事業承継に関する相談窓口となる産業支援センター(仮称)をJR菊川駅前に開設する。信用金庫の旧支店の1階部分を改装して24年3月にオープンする計画。内装のデザイン設計や改修費3300万円を新年度予算案に盛り込んだ。
 市が目指すセンターは多様な人材が集まり、人や企業がつながる場所。異なる職種の人々が作業場を共有して交流する「コワーキングスペース」も設置する。創業や事業承継、事業拡大などに悩む人と、ベンチャー企業といった新たな事業を検討する団体をマッチングするのが目標という。
 商工観光課の笹松光普課長(47)は「新たなビジネスや考え方を菊川に取り入れ、事業者の課題解決や地域経済の活性化につなげたい」と語る。菊川駅の新駅舎整備に向けた工事が本格化する中、センターが駅周辺の発展を支える拠点になることへの期待感も大きい。

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