記者コラム「清流」 お化けの目的
鬼の格好で子供の前に現れる秋田県のナマハゲは、近年では怖さが控えめになっているというニュースを見たことがある。時代に合わせた変化もあろうが「そもそも怖がらせるための行事ではない」という前提があるのだろう。ナマハゲは怠け心を戒める神様。
富士市の吉原宿宿場まつりで、市立高の生徒たちがお化け屋敷をつくった。空き店舗で開く初の出張企画という。
行列は長かったが並んでみた。シャッターから出てくる小学生や幼児に泣いている子はいなくて「怖がらせるよりも、びっくりさせたい」という内容だった。
出口で何組かの親子に聞いてみると「小さい子だから手加減してくれたようで」「並んでいる時間から楽しめた」。商店街にまた来てほしい、というお化けの目的はきっと伝わった。
(富士支局・宮城徹)