新富士－富士駅１．５キロ 貸し自転車の活用探る 官民、課題解決へ社会実験
ＪＲ新富士駅と富士駅を自転車で結ぶ期間限定の取り組みが富士市の両駅間で行われている。快適なまちづくりに自転車活用の可能性を探る官民連携の社会実験。新幹線と在来線の接続がない駅間約１・５キロをめぐる積年の課題の解決に自転車が進展をもたらすか。
事業が始まった１６日午前９時過ぎ。新富士駅を降りた米国人の３０代男性が、北口に設けられた「コネクトサイクル」の受け付けに立ち寄った。「（富士駅の隣の）富士川駅まで行って、富士山の写真を撮りたい」。富士駅で返却できる自転車にまたがると、約１０分のサイクリングで街中を移動した。
コネクトサイクルは新富士駅と富士駅に臨時の貸し出し・返却スポットを設け、電動アシスト自転車の利用を促す社会実験。市と民間企業、観光団体でつくる実行委員会がコネクトサイクルの他に、レンタサイクルやモデルツアー、岳南電車への自転車の持ち込みなどのプログラムを１１月までに試行する。
市は渋滞解消や環境負荷の軽減、市民の健康増進などを目的に自転車の活用を進めている。社会実験は道路に関する課題解決を図る国の委託を受けて実施し、結果を今後の方針策定に役立てる。
日頃は自転車に乗らないという富士駅近隣の４０代男性は「歩ける距離ではあるけど、自転車ですぐ行けるということを多くの人が知るのは前進」と推奨コースに出発。市と自転車活用の協定を結ぶジヤトコ（同市）の岡本宗幸実行委員長は、三島や静岡で新幹線から在来線に乗り換える富士周辺の利用者がいる状況を踏まえ「自転車の活用が来訪者の増加や市民の利用促進につながってほしい」と話す。
ＪＲ新富士－富士駅間の接続 新富士駅は１９８７年開設。８９年、富士駅から身延線を新富士駅に伸ばす市の構想は概算事業費１３０億円が試算された。２００２年には動く歩道や次世代型路面電車（ＬＲＴ）を含む接続構想が浮上し、その後は広域な都市交通の基軸構築が調査・検討されている。接続にはタクシーや各種バスの利用がある。コネクトサイクルの利用は無料。２７日まで。雨天中止。
（富士支局・宮城徹）
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