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テーマ : 富士市

ロシア・ディアナ号の錨 公会堂に移設 富士市

 富士市の三四軒屋地区でこのほど、江戸時代に同市沖に沈没したロシア軍艦ディアナ号の錨(いかり)が地区内の公園から公会堂に移設された。開放的な用地を備えた公会堂で記念式典が行われ、住民ら約150人が乗組員の救助に当たった先人の偉業に思いをはせた。

公園から公会堂に移設されたディアナ号の錨とプチャーチン提督像=富士市の三四軒屋区公会堂
公園から公会堂に移設されたディアナ号の錨とプチャーチン提督像=富士市の三四軒屋区公会堂

 江戸時代末に開国と通商を求めて来航したディアナ号は1855年、悪天候に見舞われ同地区付近の沖に漂着した。プチャーチン提督をはじめ乗組員586人は住民によって全員が救助された。1978年には、引き上げられた錨のうち1基とプチャーチン提督像が三四軒屋緑道公園に設置された。
 ただ公園はトイレがなく、駐車場が少ないことから「歴史的遺産を生かす適地といえない」と指摘する声も。観光資源として有用な活用を求め、地元の富士南地区まちづくり協議会が昨年、市教育長に移設の要望書を提出した。
 公会堂には錨と提督像を設置し、観光客を想定して設備を利用できるほか、広い駐車場も確保している。隣接する区画には多目的広場を整備し、住民の交流や災害時の避難場所として使われる。
 三四軒屋区と共催した式典では、同協議会の斎藤清隆会長が先祖たちの人道的な行動への誇りに触れ「子どもや孫の世代に歴史を語り継ぎ、錨をまちづくりに生かしたい」とあいさつした。地域の子どもたちは先人への敬意や大きな錨の印象などについて発表した。
 (富士支局・宮城徹)

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