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テーマ : 熱海市

熱海土石流 起点の土砂撤去、住民に公開 逢初川源頭部 静岡県、緑化し排水路整備

 熱海市伊豆山で2021年7月に発生した大規模土石流の起点となった逢初(あいぞめ)川源頭部について、静岡県は31日、行政代執行に基づき不安定土砂の撤去工事が完了した現場を地元住民に公開した。今年3月には国が逢初川の上流部に砂防ダムを完成させた。安全確保を図る工事が完了したとして、市は1日、逢初川流域の被災地に設定している立ち入り禁止の「警戒区域」を解除する。

不安定土砂を撤去する静岡県の行政代執行の完了を受け、現場公開に臨む地元住民ら=31日午前、熱海市伊豆山の逢初川源頭部
不安定土砂を撤去する静岡県の行政代執行の完了を受け、現場公開に臨む地元住民ら=31日午前、熱海市伊豆山の逢初川源頭部

 県によると、土石流の起点にあった不安定土砂1万9千立方メートルを撤去した。斜面に草木の種子を吹き付ける緑化工事や、雨水を排水する水路の整備を併せて実施した。撤去した不安定土砂は熱海港の仮置き場に運び、来年3月までに千葉県の中間処理施設に搬出するという。行政代執行の費用は11億円の見込みで、起点を含む土地の前所有者に請求する。
 現場公開は国の砂防ダムでも行われ、被災者を含む地元住民100人が参加した。不安定土砂を撤去した斜面の上部には廃棄物を含む盛り土が残っていて、一部被災者からは撤去を求める声が上がったが、県くらし・環境部の光信紀彦理事は取材に「一定の安定性は確保された」として残置する方針を示し、「住民の思いを受け止め、安全は確保されていると丁寧に説明していく」と述べた。
 警戒区域は1日午前9時に解除され、ライフラインの準備が整った被災者が順次帰還を開始する。自宅が全壊し、現場公開にも参加した太田かおりさん(58)は取材に「確かに土砂は少なくなったけれど、全部なくなったわけではない。安心しろと言われても納得できない」と話した。
 市によると、30日現在で100世帯180人が避難生活を送っている。
 (熱海支局・鈴木文之)

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