紙原料で根っこ表現 富士で企画展 作家柳井さん解説
富士市の「ふじ・紙のアートミュージアム」で開催中の企画展「カタチの進化論 柳井嗣雄展」のアーティストトークがこのほど、同所で開かれた。作家の柳井さん(69)=埼玉県飯能市=が制作方法や意図を解説した。
紙すきの手法で空間に合わせた表現を得意とする柳井さんは、アメリカ同時多発テロや東日本大震災などに影響を受けた作品や、紙の原料で元の樹木を形作った作品を画像などで紹介した。
現在展示されている幅約4メートル、高さ約2メートルの作品「蘇生のリゾーム」は、スギ皮と先染めしたコウゾを針金にまとわせ、手で握って樹木の根を形作った。柳井さんは「20世紀が大木のイメージなら21世紀は根っこ。地下の目に見えない世界を表現した」と話した。
老若男女約300人がパルプとコウゾを混ぜた素材を手で握った「手の中プロジェクト」の作品も展示。柳井さんは「見えない手の中を表現した。多数が集まると社会性を帯びる」と説明した。
展示は9月25日まで。
(富士支局・青島英治)