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テーマ : 藤枝市

春の花で色水作り 化学実験の面白さも【もっと自然遊び ちょこっとラボ⑬】

 春は庭も野山も花盛り。色とりどりの花が美しさを競い合っているかのようです。家の中でゲームやテレビにかじりついていないで、外に出て豊かな自然との触れ合いを楽しみましょう。

花殻を押しつぶして、カラフルな色水を作ろう
花殻を押しつぶして、カラフルな色水を作ろう
花で色水作り
花で色水作り
花殻を押しつぶして、カラフルな色水を作ろう
花で色水作り

 植物は何のために美しい花を咲かせるのでしょう。もちろん、人の目を楽しませるためではありません。花を持つ植物は種を実らせるために、離れた場所の同じ花の花粉を自分のめしべに付けてほしいのです。花粉を効率よく運んでもらうために頼りになるのが、ハチやチョウなどの空を飛ぶ昆虫です。
 そのために、花は目立つ色やユニークな形、かぐわしい香り、そしてとっておきの甘い蜜を用意して誘うのです。ご褒美に味を占めた虫は、同じ色や模様の花に訪れるようになり、確実に受粉が行われるのです。品種によって花の色が個性的なのは、色素の種類とその発色条件が違うからです。
 赤や紫などのパンジーやペチュニアには、アントシアニンという色素がたっぷり含まれています。数日間咲いて枯れ始めた花(花殻)を、すり鉢やビニール袋を使ってよく押しつぶすことで、色素がたっぷり取れます。濃い原液は黒っぽく見えますが、適度に薄めると赤、紫、青などの色がはっきりしてきます。
 マリーゴールドやタンポポからはフラボン類やカロテン類の黄色い色素が取れます。再利用の空き瓶やプラスチックコップなどに、色素ごとに入れるときれいです。天然の色素を混ぜ合わせて、好みの新しい色水を調合して遊ぶのです。
 これだけでも子どもは大喜びですが、酸やアルカリを準備すれば、大歓声を上げること請け合いです。アントシアニンに、スポイトでレモン汁を数滴加えてかき混ぜると、魔法のように紫色がピンク色に変化します。重曹水も使えば、赤から青までの美しい色水を作り出せるのです。
 春らしい色水のグラデーションが映えることもさることながら、化学実験の面白さもたっぷりと味わうことができます。子どもは不思議が大好きなのです。
 <常葉大名誉教授=藤枝市、イラストも筆者、月1回掲載します>

 

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