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ラグビー早明戦100年 横と縦、対照的なライバル

 12月3日に東京・国立競技場で行われるラグビー、関東大学リーグ対抗戦伝統の一戦、早大と明大の「早明戦」は、1923年の開始から100年。バックスに展開する「横」の早大と、重戦車FWで突進する「縦」の明大という対照的なライバル対決は多くの人を魅了してきた。名勝負を彩ったスター選手が当時を振り返った。

1987年のラグビー早明戦で、勝利して喜ぶ早大と敗れて落胆する明大=国立競技場
1987年のラグビー早明戦で、勝利して喜ぶ早大と敗れて落胆する明大=国立競技場

 人気絶頂だった81年。「プリンス」と呼ばれた早大3年のSO本城和彦さんは「殺気立つような異様な雰囲気」を感じた。スタンドは通路まで観客があふれ、グラウンドに出ると体が震えるような歓声を浴びた。
 低迷していた早大は名将の故大西鉄之祐監督が復帰。明大有利と目され、選手に「俺とマスコミのどっちを信じるのか」と迫った。司令塔の本城さんは相手より小さなFWをうまく前進させ、素早くバックスへ展開することに心を砕いた。CTB吉野俊郎さんの2トライなどで勝利し「大西魔術」と称された。
 翌年は64年東京五輪を除いて旧国立最多入場者記録の6万6999人を動員。早大が勝ったが、全国大学選手権では2大会連続で明大に屈した。本城さんにとって「乗り越えなければいけない壁」となった。
 積雪があった87年は「雪の早明戦」と語り継がれる。ロスタイムに明大FWの猛攻が続き、早大が耐えて逃げ切った激闘。「前へ」の教えで知られる故北島忠治監督に誘われて明大に進んだ快足WTBの吉田義人さんは1年だった。「満員の国立で走りたい」と憧れた試合で1トライを挙げた。
 吉田さんが主将の90年は終了間際までリードしながら早大の今泉清さんに劇的なトライを許し、引き分け。「心に隙があった」と思い知らされ、雪辱を期した大学選手権決勝の再戦では決勝トライを奪った。2009年から監督を4季務め、誇りを意味する「矜持」を合言葉に伝統を継承した。早明戦は「理屈のないプライドを懸けた闘い」という。
 昨年は改築された国立で行われ、約3万5千人が集まった。定期戦、対抗戦は早大の55勝41敗2分けで来年は100回目を迎える。本城さんは「いつまでも人々を魅了するコンテンツであってほしい」と願いを込めた。

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