バスケットボールＷ杯開幕　日本バスケ未来懸け大勝負　人気拡大の起爆剤なるか【大型サイド】

　２５日に日本など３カ国の共催で開幕するバスケットボール男子のワールドカップ（Ｗ杯）は、真のメジャー競技への脱皮を目指す日本バスケットボール界にとって未来が懸かる大勝負となる。自国開催を追い風に、日本代表の活躍を人気拡大の起爆剤にしたいと関係者は大きな期待を寄せる。

ＮＢＡで昨季はネッツでプレーした渡辺雄太＝４月、ニューヨーク（ＮＢＡＥ・ゲッティ＝共同）

２００６年バスケットボール男子世界選手権のスペイン戦で、リバウンドを争う竹内譲＝広島県立総合体育館

Ｂリーグで優勝を決め、大勢のファンの前で喜ぶ琉球の牧（中央）ら選手＝５月、横浜アリーナ

　▽大きな進歩
　２０１４年、日本のバスケ界はどん底を経験した。国内に二つの男子リーグが併存することを問題視した国際連盟（ＦＩＢＡ）から資格停止処分を科され（１５年に解除）、代表チームが国際大会に出場できない事態に。日本協会は解体的な出直しを迫られた。そこから９年でのＷ杯開催。ＦＩＢＡのアンドレアス・ザグリス事務総長は「大きな進歩を遂げた。１４年はもう遠い過去の話だ」と話す。
　危機からはい上がり、１８年に渡辺雄太（現サンズ）、１９年に八村塁（現レーカーズ）と米プロＮＢＡ選手が相次いで誕生。日本代表は２１年ぶりの予選突破で前回１９年Ｗ杯に出場した。レベルの底上げだけでなく、ファン獲得に大きく寄与したのが、制裁を機に２リーグを統合する形で１６年にスタートしたＢリーグだ。７季目の昨季、１部と２部の入場者数は計約３２３万人。創設シーズンと比べると１００万人近くも増加した。
　全国各地で本格アリーナの建設ラッシュも起きている。「他のどのリーグよりも圧倒的に可能性がある」。Ｂリーグの島田慎二チェアマンはバスケットボールは成長市場だと断言する。
　▽分水嶺
　こうした勢いが加速するかどうかはＷ杯次第の面もある。今回の日本代表の目標はアジア最上位に与えられるパリ五輪出場権の獲得。切符を取れなかった場合も世界最終予選に回る可能性は残るが、２４チームで４枠を争う極めて厳しい戦いになる。道が絶たれれば、再び競技の注目度が下がることは避けられない。
　苦い経験もある。日本はＷ杯の前身の世界選手権を０６年に全国規模で開催。チームは１次リーグ敗退に終わり、運営でも約１３億円もの赤字を出した。今回の大黒柱、渡辺は「ここで一気にバスケに火が付くのか、それともまたちょっと停滞してしまうのか。僕としては、そういう面での責任もある」と分水嶺になるとみる。
　ラグビーは自国開催の１９年Ｗ杯で初の８強入りを果たし、一躍脚光を浴びた。今大会の日本組織委員会幹部は「このＷ杯で日本人に『語ってもらえる』スポーツにならないといけない」と言葉に力を込めた。