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テーマ : 熱海市

古屋旅館(熱海市)内田宗一郎社長 現場の課題、DXで解消【キーパーソン】

 創業200年余の老舗旅館の17代目。現場の課題を解決するためにデジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に導入し、従業員の負担軽減などで効果を発揮している。

内田宗一郎社長
内田宗一郎社長

 -どのような業務にDXを導入しているか。
 「お客さまの食物アレルギーの有無や細かな要望事項などは、宿泊予約サイトから自動的に自社の顧客管理システムに反映されないため、社員が一つ一つ確認し、手作業で入力していた。接客や電話対応などと並行して行うため、大きな労力を割いていた。これを遠隔で入力できる仕組みを地元業者と開発し、外部委託したことで現場に余裕が生まれ、サービス向上につながった。月間労働時間も約120時間削減できた」
 -人手不足対策では。
 「旅館の仕事に不安を感じないよう、採用ムービーを製作したほか、100以上のマニュアルを全て動画にして、スマートフォンなどで見られるようにした。教える側の負担軽減もあるが、教わる側も時間の使い方にも幅が広がった。仕事とプライベートにメリハリをつけるために、動画は労働時間内に見るように指導している。ITツールを活用して私に意見や質問が気軽にできるようにもしている。若い社員にとって、こうした会社の姿勢が安心感につながっているようだ。離職率が低く、全国からの新卒応募も以前の5倍ほどに増えている」
 -DX導入をする上で経営者に必要な視点は。
 「経営者が常に現場の近くにいて、課題を共有すること。その上で他業種の事例を含め、課題解決に有効と思える情報を貪欲に収集し、まずは試してみることを心がけている。お客さまはもちろんだが、従業員の幸せを第一に考え、現場をより良くしたいという気持ちを大切にしている」(豊竹喬)

 うちだ・そういちろう 都市銀行勤務を経て、2002年に家業に戻り、15年社長就任。熱海市観光協会副会長も務める。50歳。

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