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温泉・食文化で伊豆再生 サンフロント21懇話会 伊豆の国で地区分科会

 静岡県東部地域の活性策を提言する静岡新聞社・静岡放送の「サンフロント21懇話会」(代表幹事・清野真司静岡中央銀行社長)は20日、伊豆の国市のアクシスかつらぎで伊豆地区分科会を開いた。伊豆地域の再生について議論し、旅館経営者らが温泉など地元の資源を生かして継続性を持って臨むべきと強調した。
サンフロント21懇話会であいさつする代表幹事の清野真司氏=20日午後、伊豆の国市のアクシスかつらぎ(東部総局・田中秀樹)
 基調講演とパネル討論を行った。「温泉ガストロノミーで街を変え、観光の形態を変える」をテーマに造園家の涌井史郎氏が講演。伊豆をはじめ県内の豊富な温泉と源泉地を引き合いに、本県の可能性の高さを示した。さらに、温泉だけでなく地域の魅力を総合的に示すべきと訴えた。土地の風土から生まれた食材や歴史、伝統などで育まれた食を味わい、食文化に触れる「ガストロノミーツーリズム」に、温泉を掛け合わせることで構造転換が図れるとした。
 パネル討論では涌井氏のほか、同市の山下正行市長と竹屋旅館の竹内佑騎社長、下田市に移住してライターとして魅力を発信しているワーケーション施設運営の津留崎鎮生氏が持論を展開した。コーディネーターは中山勝氏(企業経営研究所常務理事、TESS研究員)が務めた。
 清野代表幹事は冒頭のあいさつで、「何ができるのか常に模索することが重要」と呼びかけた。約120人が参加した。
 (東部総局・高橋和之)
 観光資源 生かすには パネル討論で方法探る
 静岡新聞社・静岡放送の「サンフロント21懇話会」伊豆地区分科会は20日、造園家でONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構会長の涌井史郎氏の基調講演に続き、「伊豆と観光と―魅力を最大限に生かし人を呼び込め!」をテーマにパネル討論を行った。登壇者は伊豆半島の資源を生かした観光振興へのヒントを探った。
討論するパネリストら=伊豆の国市のアクシスかつらぎ(東部総局・田中秀樹)
 伊豆の国市の山下正行市長は景観、食、体験、知的好奇心を満たす文化、衛生の5要素を満たせば観光客とリピーターが増えると指摘。「伊豆は一つ。伊豆全体で捉えて観光資源を提供したい」と語った。
 竹屋旅館(静岡市清水区)の竹内佑騎社長は、伊豆半島では歩くことが増えて職場以外でも人と話すことが多くなり、心身共に健康になったという事例を紹介した。「都会と連携することが伊豆の発展にもつながるのでは」と述べた。
 下田グローカルCITY(シティー)プロジェクトに関わる津留崎鎮生氏は、若者がSNSを使って観光地の情報を得ているとした上で、宿泊地の表面的な豪華さを重視しているわけではないと解説。「心のこもった接客や地元の食材にこだわった料理が若者を引きつける」と話した。
 (大仁支局・小西龍也)

 伊豆には無限の可能性 造園家涌井氏 講演要旨
 伊豆は温泉という資源があり、観光地として無限の可能性を秘めている。地域の魅力を総合的に提供するのが重要。「駅は玄関、道路は廊下」の考えで、ほかの産業、業界と手を取り合いながら温泉地の観光を見直すべきだ。
観光の形態について講演する涌井史郎氏=伊豆の国市のアクシスかつらぎ(東部総局・田中秀樹)
 世の中は激変し、今までの観光ツーリズムの形態は機能しなくなった。既存の事業を変えず、新しいことを考えないのでは時代から遅れてしまう。観光は「足し算」ではなく「引き算」。観光地に余計なものがあってはならず、地元の美しさを際立たせるまちづくりを進めるのが鍵。観光客がもう一度その土地を訪れたくなる地域づくりの達成を目指してほしい。
 伊豆縦貫道の完成をいかに早めるかが重要だ。東京から下田までのアクセスが飛躍的に向上すれば、観光業にとって追い風になる。渋滞がなければ約2時間半で移動でき、ドライブ感覚での観光が可能となる。

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