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静岡人インタビュー「この人」 「まちじゅう図書館」の仕掛け人 平川博巳さん(下田市)

 カフェやワーケーション施設など下田市の町中の施設に、図書館の書籍を置いたり貸し出したりする取り組みが今春から始まった。市教委生涯学習課長として、事業の拡大に汗を流す。中学高校の体育の教員免許も所持していて、教育行政に精通。1991年入庁。55歳。

平川博巳さん
平川博巳さん

 -事業の仕組みは。
 「50冊を上限に蔵書を並べてもらう。蔵書のほか、廃棄対象になったり寄付を受けたりした本も並べ、施設ごとにも用意してもらっている。一部は貸し出し可能で、『館長』を任命して貸し出し業務を任せている」
 -県内でも先進的な取り組みとみられる。開始の経緯は。
 「図書館の老朽化が進む一方、新市庁舎の建設など大型の公共事業を多数抱えていて、新図書館は実現していない。まずはやれることからやろう、と。庁内で喫茶店と読書を組み合わせた事業ができないかと議論の俎上(そじょう)に上がり、県外の事例を参考に企画した」
 -開始から約2カ月。今後の展開は。
 「早速7月から2施設が加わる。レストランと宿泊施設だ。ゆくゆくは30施設にまで拡大させ、市内全域に輪を広げたい。今後はそれぞれの“図書館”ごとに書籍の内容に特色を出してもらいたい考え。参加店舗が増えれば高齢者の居場所作りや、市民同士の交流の場にもなる」
 -読書を通じて子どもたちに伝えたいことがあるとか。
 「読書を通じて想像を膨らませ実際に行ってみたい、やってみたいという気持ちが芽生えていく。本の大きな役割だ。電子図書も普及しているが、本のページをめくる『ワクワク感』や手触りは今後も色あせない。読書の選択肢は増えても、まずは紙の本に親しんでもらいたい」

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