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三島市 ポストコロナの観光振興【東部23年度予算案②】

 宿泊客でにぎわう週末の富士山三島東急ホテル(三島市)。ロビーの一角にあるツーリングラウンジで2月中旬、県東部の地酒試飲会が開かれた。主催した法被姿の大学生が5種類の地酒を振る舞うと、口に含んだ観光客の笑顔がほころぶ。横浜市から訪れた柴田裕昭さん(71)は「三島はせせらぎの街。酒もいっそうおいしく感じる」と話した。

大勢の観光客が訪れた地酒試飲会=三島市の富士山三島東急ホテル
大勢の観光客が訪れた地酒試飲会=三島市の富士山三島東急ホテル

 地域の食文化に触れる観光「ガストロノミーツーリズム」の一環。同市の日大国際関係学部で観光を学ぶゼミ生が企画し、観光客、インバウンド、地元住民など2日間で約200人が訪れた。ゼミを指導する矢嶋敏朗准教授は「こんなに大勢が集まるとは思わなかった。水を連想させる三島で酒は観光のキーワードになる」と手応えを語る。
 コロナ禍で自粛ムードとなった「食」と「観光」が再び注目を集めている。同市では新年度予算案に200万円を計上し、ガストロノミーツーリズムに関連したホームページやノベルティーグッズの作成に乗り出す。うなぎや地元野菜を活用したイタリア料理など、地域の食を関東圏にPRして観光誘致につなげる考えだ。
 市のアンケートでは「三島がどこにあるか分からない」という神奈川県西部の回答者が46%。名物のうなぎには関心が高いものの、観光地としての認知度はまだ低い。市の担当者は「前向きに考えれば伸びしろがあるということ。食を切り口に情報を整理し、三島に来たいと思う仕掛けを考えたい」と語る。
 伊豆の観光地でもポストコロナを見据えた観光振興施策が目立つ。下田市は5月の最大イベント「黒船祭」を4年ぶりに3日間の通常開催に戻す。新年度当初予算案に関連費用3500万円を盛り込み、コロナ5類移行後の起爆剤に据える。南伊豆町でも「伊勢海老まつり」と「みなみの桜と菜の花まつり」の期間中、宿泊や体験用のクーポンを発行して誘客促進を図る。

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