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テーマ : 御殿場市

大自在(12月29日)ソウルフード

 今年注目を集めたソウルフードに、愛媛の名物で小魚を皮や骨ごとすり身にして揚げた「じゃこ天」がある。秋田県知事が10月に講演で、以前訪れた四国地方で飲食した料理や酒を酷評し、じゃこ天を「貧乏くさい」とけなした。報道を受け、県に抗議が多く寄せられネット上でも非難を浴びた。
 愛媛県は「おいしい食べ物や地酒がたくさんあるので、ぜひまたお越しになって堪能してほしい」と大人のコメント。“失言騒動”でじゃこ天の知名度は一気に上がり、売り上げは急増した。愛媛のかまぼこ店では秋田からのオンライン注文も多く「秋田の殿様が失礼しました」とわびる客もいたという。
 これを巡り秋田と四国4県の合同物産展も東京で開かれ、5県の特産品を詰めた「なかよしセット」は即日完売した。会場で神妙な顔で謝る秋田県知事に、愛媛県知事は「あんまり気にされんでください。お互いの宣伝となり、結果よしだ」。“殿様”も救われたと思ったに違いない。
 郷土の味への誇りと悪く言われた時の不愉快さ、双方の強さを実感した。同時に、食べ物は身近で話題にしがちだが、気を付けなければとも。
 思い出すのは、川勝平太知事の「コシヒカリ発言」だ。名産自体をけなされたわけではないが、「しかない」と言われた御殿場市民の不快感と、知事にコシヒカリで醸した日本酒を届け、イベントで新米のおにぎりを食べさせたたくましさは、愛媛の人たちとどこか重なる。
 年末年始、ふるさとに帰る人、迎える人がいる。“ならではの味”の良さを再認識する機会になるといい。

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