里山づくりや環境教育 日本郵船、プロジェクト推進 御殿場
海運大手の日本郵船が御殿場市東田中の人工林約4・6ヘクタールを舞台に、豊かな森づくりや子どもたちへの木の教育の機会提供を目指す「ゆうのもりプロジェクト」を進めている。2024年4月には作業棟などの建設を終え、日本古来の里山づくりや同市と連携した環境教育などを始める方針。
同社は22年4月、同市と「森林整備による地方創生に関する連携協定」を締結した。海で事業展開する同社が森林整備に関する協定を結ぶのは全国初で、根底にあるのは「豊かな森林が豊かな海を育む」の考え。手入れが行き届いていないスギやヒノキなど針葉樹中心の人工林を、社員が地域と関わりながら広葉樹も含む多様な植生の森に再生する長期的な計画という。
東京ドーム1個分に相当する面積の森を、環境教育の場になる「里山エリア」と食物連鎖が適切に機能する「生態系保全エリア」に分けて整備する。里山エリアは地下水をくみ上げたビオトープなどを作り、生態系保全エリアでは学術的な裏付けのある再生方法でフクロウなどが生息する森を目指す。整備面積は順次拡大していく予定という。
管理棟や作業棟、倉庫などを建てる予定地でこのほど、地鎮祭が執り行われ、曽我貴也社長や勝又正美市長が工事の無事などを祈った。曽我社長は「地域に利用してもらえるほか、社員が自然に対してどう行動できるか学べる場所になる」と意義を強調した。
(御殿場支局・塩谷将広)