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テーマ : 御殿場市

御殿場市火山避難計画 周知促し実効性高めて【記者コラム 湧水】

 御殿場市が2月20日、独自の「市富士山火山避難計画」を策定した。「市内は全域が溶岩流に飲み込まれる」という従来の認識を覆し、市内での近距離避難を中心とする画期的な計画といえる。依然として富士山噴火時は広域避難が基本だと理解している市民は多く、今後は住民説明会や避難訓練などを通じた周知により実効性を高めてほしい。
 計画の重要な要素が、同市の県道23号御殿場富士公園線沿いに存在する「分水嶺(れい)」だ。市内に源を発し南に流れる黄瀬川と北に流れる鮎沢川の境界となるラインを指す。今回、最新の知見に基づいたシミュレーションにより、想定しうる最大規模の噴火が発生した場合でも、分水嶺の影響で市中心部を含む地域に流下の危険がないエリアが存在することが判明した。
 計画では同市に影響がある火口位置と溶岩流の流れの38パターンを、分水嶺の①北側②南側③南北両方-を流れる3パターンに大別。市民がどの流下パターンの場合に居住地が避難対象エリアに当たるのか確認しやすくしている。
 一般市民の場合は避難が必要なパターンでのみ、噴火後に自宅から数百メートル~数キロメートル程度離れた一時集結地・避難所に原則徒歩で避難する。さらに被害が拡大する場合は行政が手配する車両で市内の安全地域や近隣市町に移動する。
 2月29日に同市萩原地区の自主防災会の要望で住民説明会が開かれた。参加者からは「逃げなくてよい場合があることに驚いた」「噴火に恐怖を感じていたが説明を聞いて安心した」との声が出た。富士山噴火後の混乱状態の中、避難行動要支援者らを除く原則徒歩避難などマニュアルに沿った冷静な避難を行うためには市民の計画に対する信頼や理解が必要不可欠。他地域でも説明会を開き、地区単位での地域事情に即した避難方法の検討につなげてほしい。
 同市によると、計画は3月中に市ホームページで閲覧可能になる。同市では溶岩流の他に、斜面に積もった雪が火砕流などによって解け、土石を取り込み泥流となって流れる「融雪型火山泥流」や降灰の被害も予想される。必ず内容を確認し、自身の対応を整理した「わたしの避難計画」を一度作成してみてほしい。
 (御殿場支局・塩谷将広)

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