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テーマ : 御殿場市

戦後復興に活用「更生戦車」 現存車両を後世に 修復・調査へ募金呼びかけ 御殿場のNPO

 御殿場市のNPO法人防衛技術博物館を創る会は4月26日まで、旧日本陸軍の戦車を戦後復興用に改造した「更生戦車」の一台「九五式軽戦車改造ブルドーザー」の修復・調査費用を調達するクラウドファンディングを行っている。現存が他に確認されていない珍しい車両で、同会の小林雅彦代表理事は「兵器の本質は生命や財産を守るための道具ということを伝えてくれる」と価値を語る。

御殿場市に移動させた「九五式軽戦車改造ブルドーザー」(NPO法人防衛技術博物館を創る会提供)
御殿場市に移動させた「九五式軽戦車改造ブルドーザー」(NPO法人防衛技術博物館を創る会提供)


 太平洋戦争の終結後、日本戦車の多くは米国をはじめとした連合国の命令で廃棄されたが、一部は連合国軍最高司令部(GHQ)の許可を得て重機や建機などに改造され、「更生戦車」として復興に活用された。一方で性能は専用に開発された重機や建機に劣り、経年劣化や質の良い国産機材の増加、朝鮮戦争(1950年)勃発による鉄の高騰などの影響で、更生戦車は次々と廃棄されたという。
 小林代表理事によると、小型の九五式軽戦車を素体にした更生戦車は希少という。今回修復を目指す車両は終戦後、林野庁や北海道の製材業者によって開拓や林業などに役立てられたとみられる。74年前後から北海道の住民が個人所有し、ブルドーザー型に改造。数年前まで雪かきなどの場面で利用していたという。所有者が亡くなり、同NPOの活動を知った親族らの意向もあって小林代表理事が引き取った。
 車両は23年9月に御殿場市に移し、有識者検証会なども開き修復箇所を確認。エンジン整備やオイル漏れの修復、鉄板の作り直し、走行装置である履帯の修理などを含め、クラウドファンディングの目標額を1500万円とした。サイト「レディーフォー」で支援を募っている。修復後はお披露目会も予定する。問い合わせは同法人メール<m.koba@k-m-d.co.jp>へ。
 (御殿場支局・塩谷将広)

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