テーマ : 袋井市

「稼げる農家」へ経営モデル拡販 浜松のベンチャー、ハッピークオリティー

 農業ベンチャーの「Happy Quality(ハッピークオリティー)」(浜松市)は、人工知能(AI)などの最新テクノロジーを活用し、独自に構築したトマトの農業経営モデル事業の拡販を進めている。高品質、高単価のトマトの安定生産と、全量買い取りによる収益基盤の確立を可能にする。新規就農者らに対して「稼げる農家」の育成を掲げ、パートナー契約を結んで流通まで一貫支援する。不安定な所得や後継者不足が課題の農業の振興を目指す。

光センサー選果機を活用してトマトの糖度とリコピン含有量を全量検査し、選別される=8月中旬、袋井市内
光センサー選果機を活用してトマトの糖度とリコピン含有量を全量検査し、選別される=8月中旬、袋井市内
自社ブランドトマト「ハピトマ」
自社ブランドトマト「ハピトマ」
栽培技術をマニュアル化し、高単価トマトの栽培を実践している=8月中旬、袋井市内
栽培技術をマニュアル化し、高単価トマトの栽培を実践している=8月中旬、袋井市内
光センサー選果機を活用してトマトの糖度とリコピン含有量を全量検査している=8月中旬、袋井市内
光センサー選果機を活用してトマトの糖度とリコピン含有量を全量検査している=8月中旬、袋井市内
光センサー選果機を活用してトマトの糖度とリコピン含有量を全量検査し、選別される=8月中旬、袋井市内
自社ブランドトマト「ハピトマ」
栽培技術をマニュアル化し、高単価トマトの栽培を実践している=8月中旬、袋井市内
光センサー選果機を活用してトマトの糖度とリコピン含有量を全量検査している=8月中旬、袋井市内


 マーケットインの考えに基づく経営モデルにより、現在9件の契約農家・法人を2026年までに30件まで広げ、出荷量も約6倍の2千トンへ拡大する。
 自社ブランド「ハピトマ」は、中玉で抗酸化作用のあるリコピンが豊富なフルティカ品種を採用。10アール以上、鉄骨屋根製ハウス、病害を回避しやすい培地「ロックウール」を使った低段密植栽培による年4作などが前提条件で、栽培技術をマニュアル化して提供している。
 顧客は研修指導を受け、半年から複数年かけて栽培法を体得する。同社の試算(30アール当たりの生産量)では、売価は1キロ当たり600円(税別)と一般より約2倍高単価になるという。
 生産を効率化、品質を見える化する技術として、AI制御技術を用いた自動灌(かん)水システム、光センサー選果機などを活用する。自動灌水システムは葉のしおれ具合を画像検知し、枯らすことなく適切にストレスを与えて水やりし、高糖度のトマト生産につなげる。地元企業と開発した選果機は、糖度やリコピンの含有量を非破壊で高精度に計測、選別できる。
 現在、生産現場で葉の水分などを調整する「気孔」の開度を測定できる機器、3次元データを元にハウス内の環境把握や栽培のシミュレーションができる農業データのプラットフォーム構築などさらなる技術開発を加速させているという。
 23年8月期の単体売上高は5億円を見込み、27年8月期に25億円を目指す。15年に創業した宮地誠社長は「誰にでもできる栽培、安定収入という農家目線の支援を徹底し、業界の変革につなげたい」と話す。
 (浜松総局・山本雅子)

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