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林業家らと事業者の“お見合い”推進 静岡県、山間地の人流創出

 静岡県は、観光や教育などのサービス産業で森林の活用を検討している事業者と森林所有者のマッチングを支援する事業を進めている。林業家らと事業者を“お見合い”形式で引き合わせるユニークな手法で、遊休林の再活用を促し、山間地での新たな人流創出を図る。

合同説明会で双方のニーズを確かめ合う森林所有者と事業者=11月上旬、静岡市
合同説明会で双方のニーズを確かめ合う森林所有者と事業者=11月上旬、静岡市

 11月上旬に静岡市で開いた合同説明会には、7人の森林所有者と13の事業者が参加した。事業者は金融機関や子育て支援の社団法人、電力会社、個人事業主など幅広く、検討中の用途もマウンテンバイクのコースや森林環境教育、アロマ蒸留などの多岐にわたった。
 所有者は自身の森林の立地や規模、現在の用途と希望の活用イメージを披露。事業者はグループごとに所有者と面談し、相性などを確認した。終了後に事業を進めたい相手を事務局に申告。複数への希望が可能なため、延べ22組がマッチングした。
 森林所有者として参加した静岡市葵区の安池林業は、同区慈悲尾の所有林を体験型ツアーなどで活用する事業者を希望。静岡駅から車で約20分の好立地もアピールし、多くの事業者から関心を集めた。安池勘司社長は「林業は消費者と交流する機会が少なく、業態も固定化している。多様なアイデアを受け入れて事業化できれば、地域活性化にもつながる」と期待する。
 浜松市と袋井市で保育園を運営する愛ノ宮の大石隆久社長も「園児が自然体験できる場所を探していたが、林業家や森林所有者との接点がなく苦労していた。複数の森林を比較できる場は大変貴重」と語る。同社は安池林業など計3者と今後事業化の実現に向けて協議を進める。
 県環境ふれあい課の深江健課長は「予想を上回る数のマッチングがあった。特に事業者側の熱量を感じた」と手応えを語り、「時代に即した森林の新しい使い方を示すような事例が数多く生まれることを期待し、支援を続けていく」としている。
 (経済部・垣内健吾)

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