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藻を使って「グリーン給食」 袋井の小中などで提供 将来の食料危機 貴重なタンパク源 環境問題 考える

 川や海などで見られる藻、その味は-。袋井市の小中学校などで、藻を使った「グリーン給食」が提供された。日本で初めてという一風変わった試みは藻類の培養・研究に取り組むイービス藻類産業研究所(宮城県石巻市)の協力で実現した。“未来の栄養食”とも言われる藻類。市の担当者は「身近な給食に取り入れることで、子どもたちに食の問題に対する関心を持ってほしい」と期待する。

藻の粉末を使った黒はんぺんの揚げ物を食べる児童=13日午後、袋井市の袋井南小
藻の粉末を使った黒はんぺんの揚げ物を食べる児童=13日午後、袋井市の袋井南小
グリーン給食で使用された「ナンノクロロプシス」の粉末(イービス藻類産業研究所提供)
グリーン給食で使用された「ナンノクロロプシス」の粉末(イービス藻類産業研究所提供)
藻の粉末を使った黒はんぺんの揚げ物を食べる児童=13日午後、袋井市の袋井南小
グリーン給食で使用された「ナンノクロロプシス」の粉末(イービス藻類産業研究所提供)


 「これから藻を食べる時代がきっと来る。今日の給食は歴史の第一歩」。袋井南小の給食の時間、卒業生の寺井良治社長が語り掛けた。献立はご飯、黒はんぺんの揚げ物、大根の香りあえなど。一見普通のメニューだが、揚げ物の衣に藻の「ナンノクロロプシス」の粉末を加えた。磯の香りが強く、分量に試行錯誤を重ねたという一品は、児童らに好評だった。
 5年の柴本涼さん(11)は「最初は少し抵抗があったけど、藻がこんなにおいしいなんて。大人になる頃には普通に食べてるのかな」と話した。
 ナンノクロロプシスは栄養価が高い上に海水中で半永久的に培養でき、将来食料危機が予想されている中、貴重なタンパク源の一つとして期待されている。藻類は培養過程で二酸化炭素を吸収するため、環境分野での注目も高まっている。
 「グリーン給食」はこうした食料問題や環境問題に大きく関わる食材に触れることで、持続可能な開発目標(SDGs)に対する理解を深めてもらおうと企画した。藻だけでなくチンゲンサイや小松菜などの地場産品もふんだんに使用し、環境をイメージする緑色の料理に仕上げた。同様のメニューは幼稚園やこども園も含む28施設で提供された。
 2016年に設置された袋井市おいしい給食課は「日本一の給食」を掲げて地元食材の積極的な活用や食物アレルギーのある児童への代替食の提供、衛生管理の徹底などに取り組んでいる。同課の石塚浩司係長は「今後もおいしいだけでなく、給食を活用した学びの機会を提供していく」と力を込める。
 (袋井支局・仲瀬駿介)

 ナンノクロロプシス 直径2~5ミクロンほどの微細な植物プランクトンで、光合成しながら海を漂っている。60種類以上の栄養素を含み、健康食品や養殖魚の飼料、化粧品などの幅広い分野で使われている。懸念される食料危機の際にタンパク源として普及させるための研究が進んでいる。含有する必須脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)は動脈硬化症や高脂血症などの治療薬の原料になっていることから、将来的な医療分野での活用も期待されている。

 

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