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もみ殻活用 循環型農業へ 静岡製機、県農技研など 燃焼熱で穀物乾燥費抑制 灰は土壌改良材に

 農機メーカーの静岡製機(袋井市)や県農林技術研究所(磐田市)などでつくるコンソーシアム(共同事業体)は、精米時に大量に発生し、処分に困るもみ殻の利活用モデルづくりを進めている。穀物を乾燥させる際の燃料代わりにし、燃焼灰は農地の土壌改良に活用する。二酸化炭素(CO2)の土中固定化も図り、地域循環型農業の実現への貢献を目指す。

もみ殻を燃やした熱を穀物乾燥に活用する燃焼炉=磐田市
もみ殻を燃やした熱を穀物乾燥に活用する燃焼炉=磐田市
農地の土壌改良への活用を探っているもみ殻の燃焼灰
農地の土壌改良への活用を探っているもみ殻の燃焼灰
もみ殻を燃やした熱を穀物乾燥に活用する燃焼炉=磐田市
農地の土壌改良への活用を探っているもみ殻の燃焼灰


 静岡製機は、もみ殻を燃やし、その熱を温風にして穀物乾燥機に送る燃焼炉を開発した。灯油の使用量を減らして乾燥工程を省エネ化し、高騰する燃料費の抑制につなげる。磐田市の市郎兵衛農園に導入して試験的に運用したところ、稼働を増やせば年間の灯油使用量を70%低減できる見通しが立ったという。
 燃やしたもみ殻の灰はケイ酸を多く含み、田んぼの土に混ぜると水稲の病害虫への耐性を強化できるという。県農林技術研究所は用途を広げようと、磐田市や浜松市のキャベツ、白ネギ、タマネギ畑にも燃焼灰を散布し、収量や生育の変化など土壌改良効果の実証を進めている。土壌のpHや透水性の改善につながると期待する。
 課題も見えてきた。燃焼炉の導入コストはまだ高く、灰は散布時に一部が飛散してしまう。これらの解決策を今後検討し、2025年をめどにモデルを確立して普及を図る。
 静岡製機の担当者は「化石燃料の使用削減や炭素固定が可能な循環モデルで、農業のゼロエミッション化に一役買いたい」としている。
 (磐田支局・八木敬介)

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