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「クラウンメロン」タイ輸出4年ぶり再開 厳格な検疫クリア 袋井の生産者、努力結実 

 袋井市特産の「クラウンメロン」が厳しい検査を突破し、タイで4年ぶりに販売される。かつては人気を誇っていたが、規制の厳格化により、輸出が停止となった。11月中旬、同市内で輸出再開に向けてタイの検査官らを招いた合同輸出検査が実施され、検査官らがメロンの温室と出荷梱包(こんぽう)現場を検査し、同国へ輸出できる基準を満たしていることを確認した。

クラウンメロンがタイへの輸出基準を満たしているか確認した合同輸出検査=11月中旬、袋井市内
クラウンメロンがタイへの輸出基準を満たしているか確認した合同輸出検査=11月中旬、袋井市内

 静岡県温室農業協同組合クラウンメロン支所によると、クラウンメロンは年間生産量の2割弱がアジアを中心に中東、ヨーロッパなど国外へ輸出されている。タイへの輸出は2012年に始まり、主要輸出国の一角となったが、19年にタイ側の日本産メロンへの規制が厳格化。さらに、コロナ禍で検査官を招くことができない状況も重なり、輸出が滞っていた。
 タイが厳しく規制する一因は、幼虫がウリ科作物の果実内部を食害する「カボチャミバエ」という害虫。クラウンメロンがこれまでに被害を受けたことはないが、輸出を再開するために今年、同市山科の生産者寺田直人さんの温室でタイ側の条件を満たす環境を整えメロンを栽培した。結実から収穫までの約50日間、誘引剤でカボチャミバエをおびき寄せるわな調査を実施し、害虫がいないことを示した。
 合同輸出検査には、タイの植物防疫検査官のほか、名古屋植物防疫所職員、農林水産省職員らが参加した。温室の視察後、梱包施設で60個のメロンを目視で検査。害虫がいないことを確認し、タイへの輸出を許可した。タイの検査官チャワリット・チッタナンさんは「クラウンメロンは品質も良く、おいしいことをタイの多くの人が知っている。問題なく輸入できることがうれしい」と笑顔を浮かべた。
 タイでの販売は22日からを予定し、販売に合わせて同支所担当者が現地に渡航して販売促進活動を実施する。同支所の鈴木陽介経営戦略部長は「タイの検査官に品質の良さをアピールすることができた。現地のファンに改めておいしさを知ってもらい、今後の販路拡大の糸口となれば」と輸出再開を喜んだ。
 (袋井支局・北井寛人)

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  • 【SBSテレビニュース】「厳しい基準をクリアできた?『クラウンメロン』をタイに輸出へ 歴史的な円安で今がチャンス プロモーション活動も=静岡県袋井市」

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