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テーマ : 長泉町

憲法県民意識調査 キラリと光る自由意見【記者コラム 黒潮】

 「小学生の頃、こんなに素晴らしい憲法のある国に生まれたんだ!と感動しました。大人になっても、その気持ちは変わりません」(袋井市・50代男性)
 何とも胸のすくようなコメント。これは昨年末に静岡新聞社が実施した、日本国憲法に関する県民意識調査の自由意見の一つだ。全回答者617人の1割に当たる73人が任意の回答欄に思いをつづってくれた。集計担当者の特権でありがたく読ませてもらった。熱い訴えも冷静な視点もさまざまで、引き込まれる思いだった。
 73人のうち26人が改憲や見直しの必要性を指摘した。「戦後、さまざまな制度やシステムが変化する中で憲法だけは不可侵的に扱われてきたのではないか」(静岡市・40代男性)、「世界に誇れる平和憲法としての根幹はしっかりと維持しつつ、現代の国際社会に合わせ、改正も必要だと考えます」(菊川市・30代男性)。一方で「未来の子どもたちを戦場に送り出さなければならなくなるような改定には反対」(静岡市・50代男性)など、不戦を誓う9条を踏まえ、現行憲法の堅持を訴える声も相次いだ。
 憲法への関心度を問う質問では、「関心がある」「ある程度ある」と回答した割合が60・9%にとどまり、2004年の調査開始以降で最も低くなった(18、19歳に対象を限定した16~18年を除く)。こうした現状に危機感を覚え、我が身を省みる方々も。「自国の憲法に対してあまりにも興味がなさ過ぎだと反省した」(焼津市・50代女性)。恥ずかしながら記者も集計を担当するまでほぼ同じ状況でした。「もっと憲法や政治について勉強しなければいけない」(長泉町・40代女性)。全く同感です。
 全体として憲法への関心は低下傾向にある。それでも借り物ではない言葉に富んだ自由意見を読む限り、憲法を見つめ直す機会に接すれば誰でも立ち止まって考えを巡らすのではないか―と思う。いかに「機会」を提供して関心を喚起できるか。小学生の頃に覚えた感動が大人になって薄れてしまっては寂しい。いつの時代も、誰でも誇りに思える憲法の姿を、皆さんと一緒に考えていきたい。
 (社会部・木村祐太)

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