あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 長泉町

静岡市に45%集中 建設発生土の県内民間処理施設 増設や偏在解消へ県模索

 静岡県内で民間が運営する建設発生土処理施設のうち、45%が静岡市に集中していることが、14日までの県への取材で分かった。県は土砂を再利用するまで仮置きするストックヤードを長泉町、静岡市、浜松市に1カ所ずつ整備し、年内に運用を始める予定だが、建設土木業界からは処理施設の増設や地域偏在の解消を求める声が高まっている。県は建設発生土の有効利用を促進しつつ、地域事情に応じた課題解決策を模索する。

県土木事務所管内の施設数(2023年10月)
県土木事務所管内の施設数(2023年10月)
建設発生土処理施設数の推移
建設発生土処理施設数の推移
県土木事務所管内の施設数(2023年10月)
建設発生土処理施設数の推移

 県内の民間処理施設は2022年4月時点で76カ所あった。土砂受け入れ時の規制を強化する県盛り土規制条例施行を境に一時減少したものの、条例上の許可手続きが進み、23年10月時点で73カ所まで回復した。このうち33カ所が静岡市域を管轄する県静岡土木事務所管内にあり、大半がストックヤードや土質改良プラントといった中間処理施設という。
 県技術調査課によると、静岡市は工事発注件数が他地域に比べて多く、もともと土砂の中間処理業者が集中しているという。建設発生土の利活用に対する関心が高まる中、建設土木業者からは「自治体ごとにストックヤードの設置が必要」「土木事務所や市町単位で議論できないか」といった意見が出ている。
 同課の担当者は「業者の土砂運搬コストを考えると県内各地にまんべんなく中間処理施設があることが理想だが、地域ごとに設置が難しい事情もある」と話す。県は今月から、各市町に建設発生土の有効利用に対する考え方などのヒアリングを始め、課題の洗い出しを進めている。
 県と市町が発注した工事では年間190万立方メートルの建設発生土が生じている。このうち約3割の55万立方メートルが埋め立てなどの最終処分に回っている。一方で、山などから採取された約40万立方メートルの土砂が新たに購入されている。こうした需要と供給のミスマッチを解消するため、県は建設発生土の処理に関する基本方針に発生抑制、利活用促進、適正処分を掲げ、土砂の有効利用率を現状の70%から27年度末までに80%に高めることを目指している。
 担当者は「建設発生土の有効利用を最優先し、最終処分の量を減らしたい」と強調する。その上で「県と市町の連携だけでなく、隣接市町が連携してストックヤードを整備するなど、さまざまな手法を視野に入れて検討し、協力を求めていきたい」と話す。
 (政治部・豊竹喬)

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

長泉町の記事一覧

他の追っかけを読む