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テーマ : 長泉町

本から始まる交流拠点創出促進 長泉町、出版取次大手・日販と協定へ

 出版取次大手の日本出版販売(日販)が、本を柱にしたまちづくりを長泉町で展開する。人と文化の交流拠点を創出し、町内に多い子育て世代を中心に、世代間の交流を通じて地域の活性化を目指す。同社は近く、町と包括連携協定を結ぶ。21日までの関係者への取材で分かった。
長泉町で行われた本によるにぎわい創出のための社会実験。コミュニティー型書店「文喫」がプロデュースした=昨年9月、同町
 全国の書店数が年々減少傾向にあるなど出版業界の変革期の中、同社として初めてとなる自治体との協定締結で、地方での商機発掘を図る。人口増が続く同町での取り組みをモデルケースに、将来的には本を生かしたまちづくりを全国に広める考えだ。
 同社と町は昨年9月、同町のJR下土狩駅前広場を対象に、本によるにぎわい創出のための社会実験を行った。同社の子会社「ひらく」が手がけるコミュニティー型書店「文喫」がプロデュースし、芸術や食などさまざまな文化的活動を実施。社会実験後の町民へのアンケートから、利用者の快適性や滞留性を高める効果が確認できたため、連携を強める流れとなった。
全国の書店数の推移
 書店の店舗数を調査している日本出版インフラセンターによると、全国の書店数は2013年に1万6371店だったが、23年は1万1495店と10年間で約3割減少した。日販によると、全国の26・2%の自治体に書店がなく、同町もその一つ。だが、子育て施策に町が力を注いでいる点や人口が増加傾向にあることに可能性を感じたという。
 担当の山元佑馬さん(35)は「単に本を仕入れ、売るだけでは厳しい時代になった。本の価値を再定義して、本から始まるにぎわいや多世代交流ができる場所を作っていきたい。長泉が地方創生のモデル自治体になれば」と意気込む。
 同町の高田昌紀副町長は「これから何ができるのか一緒に考えていきたい」と話す。協定締結後は町の公共機関を活用し、交流する空間づくりを始める予定だ。
 (東部総局・天羽桜子)

 日本出版販売(日販) 1949年、東京で創業。出版社から書籍、雑誌、コミックなどの書店への流通を担う出版取次会社。全国の書店数減少に伴い2019年に事業会社化した。空間のプロデュース、コミュニティー型書店「文喫」の運営、公共プレイスの3事業を手がける「ひらく」を子会社として設立し、従来にない事業を本格化させている。従業員938人(23年3月1日現在)。

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