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テーマ : 長泉町

スマホ・ネットの家庭内ルールどうしてる?⑥しずしんニュースキュレーターと読者の意見【賛否万論】

 スマートフォンやネットの家庭内ルールを巡る「賛否万論」。前回まで、保護者による管理「ペアレンタルコントロール」の必要性に加え、子ども自身が利用の長所と短所を学ぶことや親子間の会話の重要性などについてさまざまな意見が寄せられました。家庭内の方針に委ねられる場面が多い分野ですが、ネットに起因する犯罪被害を防ぎ、コミュニケーション手段としてより有用に活用するため、ネットリテラシー教育の大切さは高まっています。今回もしずしんキュレーターと読者の声を紹介します。

どう使うか、全ては心根次第
キュレーター 寺子屋たっちゃんさん(静岡市)


 

 

私学教育に携わり50年超の人情家。「人は多士済々」。ことし後期高齢者となる

 カタカナ言葉が多用されるようになっている現今、言葉の意味を再確認してみることが大切だと思います。
 スマートフォン=「smartphone」。直訳すれば賢い電話、コンピューターに電話機能を持たせたもの。コンピューターの持つ機能は日進月歩。進化が速いです。計算機能、文章作成、画像の作成とその取り込み等利便性を取り上げればきりがありません。便利になるということは、それに伴う不便さや危険も増して来ます。社会経験の少ない子供をいかにして危険から守るか、あるいは遠ざけるかに親の関心が集まりますね。
 ところが、目先の心配は何をしても解決しないのでは?と思います。科学の「科」という字の「のぎへん」は稲、麦等の穀物が実を付け、頭を垂れている様を表したもの。「斗」は測ることを意味します。つまり収穫された穀物を升で測り小分けするということです。
 大量に山積みされた穀物が小分けされる、つまり大元(総論)から細分化されたものが科学されたもの(各論)となるのです。各論(目先の心配)を話し合ったら、それこそ賛否両論どころかまさに賛否万論です。そこで大元に返って考えてみましょう。
 人間の持つ性[しょう]は性善なのか性悪なのか?と問われればその両方だと思います。悪の性を持つならば、極力悪の性を減らすことを家庭で話して聞かせたらいかがでしょうか? 仏教には「身口意[しんくい]の三業[さんごう]」や「身口意の一致」といった言葉が有ります。「身口意」は行動、言葉、思考を意味します。いろいろな事を考え、言葉として口に出し、行動を起こすわけですから、他人に迷惑となることは避ける必要がありますね。道徳とは人間[じんかん]をスムーズに動かすことをいいます。そのベースとなるものが倫理と言われるものです。
 便利な物から利益を受けるためには、自分の身口意をしっかり固める訓練が大切です。このことを子供の年齢に合わせて話して聞かせたり、話し合ったりしてみたらどうでしょうか。スマホをどう使うか、全て使う側の心根です。社会生活を営むためには親がしっかりした信念を持つことが大切ですね。
 蛇足ですが欧米ではスマホとは略しません。セルラーフォン(セル)とかモバイルフォーンと言います。
 先に述べたように、カタカナ造語の元を知らずしてうのみにしていると大きな間違いとなることも考えておく必要もありますね。

 読者 内田務さん(沼津市)63歳

 私もスマートフォンを持たないアナログ派のため、「賛否万論」のキュレーターの江口さんがスマホをもっておらずアナログ派だということに驚き共鳴した。
 アナログ派の私は最近、夜のスーパーマーケットの駐車場で、若い男女2人が、横並びの椅子に座り会話もせずそれぞれ別のスマホでゲームか何かをやっている姿を見て不思議な寂しさを感じた。年配の自分からすると、友人同士でいるときは、もっと若者らしく会話をしたらいいのに、とも思った。
 彼らがスマホを持つ理由は、勉強のためと言うより親との連絡手段だろうが、15歳の女性が大人の男性とスマホを通じトラブルに巻き込まれたニュースなど怖い話も聞いている。
 中学生、高校生にとって、学校内では使えないスマホを校外に出れば自由に使えるようになるが、ゲームやLINE(ライン)などが受験という目標を持つ彼らの集中を妨げているように感じる。
 スマホの利用自体は否定しないが、中学生、高校生には読書を勧めたい。私も文芸部に所属しながら高校では読書をせず、東京で浪人生活をしていた19歳の時に、小林秀雄の評論にはまった。読書は大学受験にも役立つので、小林秀雄が著した「考えるヒント」を推薦する。読書のおかげで、私も映画ライターや広告のコピーライターになれたので、何か将来につながるきっかけが見つかるかもしれませんね。

共に使い、対話し、相談すること大事
キュレーター 高木有加さん(長泉町)

 

 

1男1女の母。ママ防災塾マモルマムズ代表。レンタルスペース「ママとこどものヒミツキチmorisbase」の管理人。ミッションは「孤独な子育て、ダメ、ぜったい。」

 息子の学年では、小学5年生の頃からクラスでLINEグループができ始めました。SNS(交流サイト)の練習がてら、私のアカウントを一緒に使わせることでスタートして、現在もまだ同じアカウントを使っています。使い始めの頃には、子どもたちがLINEグループ内でケンカしているのを、思わず黙っていられなくなって「親です。SNSはケンカをするためのツールではなく、仲良くするためのツールです」としゃしゃり出たこともありました(笑)。
 小学4年生の娘がやっているオンラインゲーム内のチャットには、チェーンメールが届きました。友達に「どうしよう…」と相談しているのを見つけて、「これはチェーンメールと言って、ママが子どもの頃からあるイタズラで、相手にしなくていいんだよ」と教えたところ、やっとホッとするという出来事もありました(正確には、私の時代は「不幸の手紙」と言う名前でしたけど)。
 今の子どもたちが置かれている環境は私たち親の世代には想像が付かないほど便利で、想像以上の情報量の中にいます。その中には危険も多く潜んでいます。
 小学生になると、いつも親と一緒にいるときばかりではなくなります。実際に1人で、または子どもだけでいる時間が増えます。インターネットという広い世界ではたった1人です。そんなときに、不意に災害や犯罪に出合うことは誰にでも起こり得ることです。ただし親も子も知らなかったが故に、知らぬ間に犯罪に巻き込まれることはなんとしても防ぎたいものです。「そのときが来る前に」「知る」「備える」、これは防災も防犯も同じです。
 マモルマムズでは、今年新たに親子向けのプログラムを導入しました。「自分の身を自分で守れるようになる親子講座」です。まずは「何かおかしい」に気づけることがとても大事です。そして、「その時どうしたらいいか」をあらかじめ知っていること、さらに「万一困ったときには相談していいこと」など親子で一つずつ確認しながら、わが家のルールを決めていく講座です。
 使用を禁止したり使用時間を決めたりする事だけでは、犯罪は防げません。利用規制をかけたりLINEだけ監視したりしていてもダメです。なぜならスクリーンタイムや制限の外し方はGoogle検索やYouTubeが教えてくれますし、SNSやチャットツールは、私たち親が知る以上にたくさんの種類があって、もはやそれを管理したり子どもの発言をチェックしたりすることが難しくなっているからです。
 インターネットが使えなければならない時代を生きていくためには、「一緒に使いながら」「対話をし」「困ったときには相談する」ことを伝える方が大切なことではないかと考えます。

 キュレーター

 「しずしんニュースキュレーター」は、新聞記事や時事問題の“ご意見番”として、静岡新聞の記者が推薦した地域のインフルエンサーです。毎回それぞれの立場や背景を生かしたユニークな視点から多様な意見を寄せてもらいます。

 次回のテーマは
 

不登校でも「学校」に行かせるべき?
 次回のテーマは「不登校でも『学校』に行かせるべき?」です。急増する不登校の子どもの受け皿としてフリースクールや私立通信制高校が注目されています。一方で滋賀県東近江市の小椋正清市長が「フリースクールは国家の根幹を崩してしまうことになりかねない」と発言し、物議を醸しました。自由度の高いフリースクールや私立通信制高校の活動には幅があり、一般の人にあまり知られていません。その現状を紹介するとともに、「学校」以外の選択肢について行政支援の在り方も含めて考えていきます。

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