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テーマ : 長泉町

空き家撤去の土地 一定期間、固定資産税を減免 宅地確保狙い 長泉町

 長泉町は4日までに、空き家を撤去した土地の固定資産税を一定期間減免する方針を固めた。一定の条件をクリアした空き家への減免措置は静岡県内自治体で例があるが、町内全ての空き家を対象にするのは珍しい。県内外から引き合いのある市街地の宅地を確保するのが狙い。

契約で埋まる長泉町内の物件。関東圏や子育て世帯からの引き合いが強いという=長泉町の不動産会社「共同開発」
契約で埋まる長泉町内の物件。関東圏や子育て世帯からの引き合いが強いという=長泉町の不動産会社「共同開発」

 空き家を撤去すると住宅用地特例を受けられず、固定資産税は増額になる。町によると、除去が1~3月の場合はその翌々年度から、4~12月の場合は翌年度から撤去前の税額を3年度分維持する。
 同町は子育てのしやすさと、交通利便性が高いことで子育て世帯に人気だが、宅地に適した土地が少なく、町外への人口流出を食い止めるのが急務。特に、町南部はJR三島駅に近く新幹線による通勤通学が可能で、ファルマバレープロジェクトの始動もあり20年前から全人口は7千人以上増えている。
 人口増に伴う宅地不足で地価は上昇傾向。近年はマンション暮らしの子育て世帯が多く、2020年の国勢調査で町の持ち家率は県内最下位の57・7%。町の転出者へのアンケートによると、毎月20~30世帯が転出しているが、このうち子どもが小学生に上がるタイミングで「住宅取得」を目的に転出するとの回答が多いという。
 高田昌紀副町長は「住宅供給をできるだけ早くし、長く住み続けてもらいたい」と強調する。
 (東部総局・天羽桜子)
高い土地需要 供給追いつかず  長泉町などで不動産売買を手がける「共同開発」(同町)の米山晴敏社長によると、「長泉で土地を出すと売れる」のが業界の共通認識という。空き物件が出ると、当日に問い合わせがあり、内覧から契約に至るケースも少なくない。
 相談に来る客の多くが子育て世帯か、東京などの関東圏から移住を考える世帯。「首都圏で家を持つとなると、マンションでも億単位を超える。JR三島駅に近い中土狩や下土狩では1平方メートルあたり20万円前後の高値だが、引き合いは強い」と話す。需要の高さに対し、土地の供給が追いついていないという。
 米山社長は「実家が空き家で、壊すか迷っている人の相談も多く受けるが、減免になれば処分のハードルが下がるはず。効果はかなり大きい」と見込む。

 <メモ> 住宅地の固定資産税は地方税法の「住宅用地特例」が適用され、税額が200平方メートル以下の部分は6分の1に、200平方メートルを超える部分は3分の1に低く抑えられる。住宅を撤去すると税額が上昇するため、空き家の増加要因の一つとなっている。固定資産税の減免対象は、倒壊の危険性が高い「特定空き家」とその前段階となる「管理不全空き家」、災害による被害を受けた家屋など対象を絞ったものが多く、県内では磐田、藤枝、伊豆市が既に導入済み。

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