親はどっしりと見守る(蔭山昌弘/スクールカウンセラー)【思春期の心 支える力 不登校②】
わが子が学校へ行かなくなったとき、ほとんどの親御さんが「どうして?」と考え、「どうしたの?」と子どもに尋ねます。子どもが体調不良を訴えた場合は「今日は休んで明日行けばいいよ」と言いますが、「分からない」などと言われると心配になり、欠席が続くと「困った。どうしたらいいでしょうか」と学校に相談します。
カウンセラーとして、親御さんにお会いしてみると、ほとんどの方が「こうなってしまったのは私の育て方に問題があったのでしょうか」とおっしゃいます。そこで「子育ての過去は振り返らないようにしましょう。良かれと思ってやってこられたのですから、自分を責めないでください。それよりこれからどうするかを一緒に考えていきましょう」と話します。
親が子育てにおける過去にこだわると、子どもが前進して行こうとする力を見落としてしまいます。まずは子どもをしっかり見守り、動揺しないことです。ちょうど荒れた海に船を浮かべその上に子どもが立っている状態だと考え、船(親・家庭)をどっしりとさせて、揺らさないようにすることです。船(親)が揺れると子は一層不安になってしまいます。
家庭ではできる限り「学校」「勉強」「この先どうするのか」に触れずに日常会話を続けます。そうして子どもにパワーがたまるのを待ちます。
学校に対しては、クラス担任と連絡を取って、可能ならスクールカウンセラーを交えて対応を話し合ってもらいます。子どもの心の内を聴いて「もがき」に寄り添うのは主にカウンセラーらの役割です。勉強のことや単位取得などの現実問題で子どもに関わるのは担任の役割です。だから「学校へ行きなさい」などと言わずに見守り支えるのが親の役割と言えます。子どもにとっての「回復」は「自分の意思で自分の歩き方を定めて歩き出す」ことにあると考え、三者が役割分担して子どもに関わることがポイントだと思います。
(蔭山昌弘・スクールカウンセラー=静岡市葵区)