あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 教育・子育て

台風や大雨...災害時の児童引き渡し、より安全に 浜松の小学校で改善模索

 台風や大雨などの災害時に児童を学校から家庭へ安全に引き渡すには―。浜松市内の教育現場で、自然災害時の児童の引き渡し方法について見直しが進んでいる。市教委は4月に学区内のハザードマップ提出を各校に義務付けるなど「防災対策基準」を改定した。学校側はアプリを活用した連絡体制や独自マニュアルの作成によって、保護者や教職員の安全にも配慮した引き渡し方法を模索する。

「さくら連絡網」を活用した児童引き渡し訓練の画面。保護者が回答し学校側が集計を取る=浜松市
「さくら連絡網」を活用した児童引き渡し訓練の画面。保護者が回答し学校側が集計を取る=浜松市

 浜松市では昨年9月に警戒レベル5に相当する「緊急安全確保」の避難情報が初めて出され、家屋への浸水が広範囲に及ぶなど風水害が多発した。学校では児童の引き渡しのタイミングや車での迎えの可否など多くの課題が浮上。市教委は防災対策基準を見直し、大雨や台風時の細かな対応フローを示したり、学区内の危険な場所を把握するハザードマップ提出を各校に義務付けたりした。担当者は「被害の程度は地域によって異なる。学校ごとの判断が重要」と強調する。
 西小(同市中区)は、コロナ禍に市が導入した保護者と学校の連絡アプリ「さくら連絡網」を防災に活用し、引き渡し時の保護者との連絡体制確立を目指す。学校への迎えが必要な場合はアプリを通じて保護者に通知が入り、来校者や予定時間を連絡し、学校側が保護者の回答を集約する。長瀬千晶教頭は「回答があったかどうかで、保護者の安否も把握できる」と話す。
 豊西小(同市東区)は6月、引き渡し時の教職員の安全も考慮したマニュアルを作成した。大雨時には、教員7人が児童待機場所の体育館から保護者の待つ校内駐車場まで誘導する。昨秋は、教員がずぶぬれになって対応に当たった。マニュアルでは人員配置や保護者の車送迎ルートを見直した。学校周辺は交通量が多いため、渋滞緩和を狙って地域ごとに引き渡し時間を設定。どの児童の保護者か一目で分かるよう、車のダッシュボードに置く名前プレートの配布も検討中だ。田中公子校長は「児童や保護者はもちろん、教員の安全確保も大切」と語る。
 近年の豪雨災害は、短時間に強い雨が集中して降るケースも多く、急激に危険性が高まる傾向にある。両校は「さまざまな想定でマニュアルを作成したが、有事の際には臨機応変に対応したい」と声をそろえた。
 (浜松総局・小林千菜美)

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

教育・子育ての記事一覧

他の追っかけを読む