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テーマ : 教育・子育て

教員の精神疾患休職最多 22年度公立校6539人 文科省調査

 2022年度に公立小中高校と特別支援学校で精神疾患を理由に休職した教員は、21年度より642人多い6539人で、過去最多だったことが22日、文部科学省の人事行政状況調査で分かった。全教員に占める割合は0・71%(140人に1人)となる。精神疾患で1カ月以上の病気休暇を取得した人を含めると1万2192人に上った。
精神疾患で休職した公立学校の教員数と在職者に占める割合の推移
 近年の精神疾患休職は5千人前後で推移したが、20年度からの2年間で1300人以上増えた。業務の多忙化や保護者らによる過度な苦情といった要因が指摘されている。文科省は「深刻な課題」と受け止め、働き方改革などを推進する。
 休職者の年代別は20代1288人、30代1867人、40代1598人、50代以上1786人。男女別は女性3920人、男性2619人だった。
 学校種別は小学校3202人、中学1576人、高校849人、特別支援学校872人など。23年4月1日時点で復職したのは2606人で、2663人が休職を続け、2割に当たる1270人は退職した。
 休職と病気休暇を合わせた割合を年代別で見ると、若手ほど高くなり、20代の2・02%が最も高かった。
 また、性暴力や性犯罪などで懲戒処分や訓告を受けたのは242人で、10年連続の200人台。98%が男性教員だった。
 性犯罪などに関し、児童生徒への行為で処分を受けたのは119人。うち118人が懲戒免職になり、1人は停職にとどまった。行為の内訳は「性交」が42人、「体に触る」32人、「盗撮・のぞき」21人などだった。休み時間や部活動といった勤務時間中の行為が3割ほどを占めた。
 体罰で処分を受けた教員は21年度から54人増の397人。ピークだった13年度の3953人から減少が続いていたが、増加に転じた。

 性暴力の処分は高止まり
 性暴力や性犯罪などを理由に2022年度に懲戒処分や訓告を受けた教員は242人に上り、10年連続で200人台と高止まりしている。23年度に入っても、現役校長が逮捕されるといった事件が相次ぐ。政府は子どもを守る対策を強化するが、道半ばの状況だ。
 22年度に処分された教員のうち児童生徒が対象だったのは119人。21年度から25人増えた。勤務時間外の行為が多いが、勤務時間内も約3割に上る。
 22年4月施行の「教員による児童生徒性暴力防止法」に基づき、文部科学省は被害根絶に本腰を入れる。わいせつ行為で懲戒免職となり教員免許を失効した元教員の情報をデータベース化し、加害者が別の学校で教職に戻るのを防ごうとしている。各教育委員会には「生徒を手なずける」「2人きりになる」といった状況に陥らないよう研修の強化を求めている。
 そうした中で、今年9月に東京都練馬区立中の男性校長が、過去に勤務した中学の女子生徒の児童ポルノ画像を所持したり、生徒に性的暴行を加えたりしたとして逮捕され社会に衝撃を与えた。
 また、大手中学受験塾「四谷大塚」の元講師が女児を盗撮したとして逮捕されるなど、学校以外での対策も必要性が高まる。政府は、子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴の有無を確認する「日本版DBS」の創設に向け議論を進めている。
 日本大の末冨芳教授(教育行政学)は新法により相談窓口が整備されるなどして申告しやすい環境ができつつある一方、表面化していない児童生徒の被害は多数あると指摘。「教員養成段階から性暴力加害の防止を徹底的に学ぶ機会を設けることが必要だ」と話した。

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