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テーマ : 教育・子育て

予算編成通じ「国の在り方」 静岡財務事務所が出前授業

 財務省の出先機関「静岡財務事務所」は、子どもたちが予算編成シミュレーション体験を通じて国の在り方を考える出前授業「財政教育プログラム」に取り組んでいる。体験で生じた生徒の疑問に、専門性の高い職員がその場で答えられるのが特徴。2022年度にスタートした高校の新学習指導要領では、生徒が財政など現実の課題を話し合いで考察する「公共」が必履修科目となり、今後ニーズが増しそうだ。

予算編成のシミュレーションに取り組む生徒=9月下旬、静岡市葵区の静岡商高
予算編成のシミュレーションに取り組む生徒=9月下旬、静岡市葵区の静岡商高

 日本では救急車は原則無料で利用できるが、1回呼ぶのに実際にかかっている費用は―。9月下旬、静岡市葵区の静岡商高で行われた出前授業。正解が4万円と聞き、生徒は驚きの表情を浮かべた。
 同事務所職員の講話で、救急車のような公共サービスの維持には多額のお金が必要で、国民が負担する税金や保険料が安全安心に暮らすための“会費”として財源となっていることを学んだ。国民からお金を集め、収支のバランスを取りながら国民のためにお金を使う「財政」の大切さや、少子高齢化に伴い歳出が増え借金が増大する日本の現状にも理解を深めた。
 生徒18人は4グループに分かれ、自ら予算案を考えるシミュレーションにも挑戦。意見を出し合いながら、タブレットに歳入と歳出の数字を入力した。「少子化だから子育て予算は減額で良さそう」「日本は戦争していないのになぜ防衛費が7兆円もあるの」。生徒の疑問に対し、同事務所職員が「子育て予算が減ったら少子化が加速する可能性があります」「防衛費は戦争の未然防止や、災害時に救助に当たる自衛隊の運営にも使われています」など助言する場面もあった。
 同事務所の川上正人総務課長(51)は講評で「財政には決定的な答えはない」と説明。さらに、予算を決める国会議員を選ぶ重みを指摘して「どんな未来にしたいか。自分の考えを実際に反映させたければ、選挙で自分と似た考えの人に投票することが大切」と呼び掛けた。
 財政教育プログラムの申し込み、問い合わせは静岡財務事務所総務課<電054(251)4321>へ。
 (教育文化部・鈴木美晴)

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