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テーマ : 長泉町

「地域の人事部」2年目 企業、人材の交流促進を【東部 記者コラム 湧水】

 経済産業省関東経済産業局が主導し、静岡県東部の中小企業で複業(兼業・副業)人材を推進する事業「地域の人事部」の取り組みが2年目を迎えた。首都圏の人材への周知と参加企業の増加を促し、関係人口創出につなげてほしい。
 事業は昨夏に始動し、地域の支援機関や自治体などが一丸となって、複業人材のほか若者やシニア、女性、外国人など多様な人材とのマッチングを図り、企業の自走化を支える。県内では三島市が取り組み、このほか茨城県北部、長野県松本市と塩尻市、新潟県長岡市と燕市の6地域で取り組んでいる。三島では事務局の三島信用金庫を中心に市、商工会議所などが連携し、初年度は企業向けセミナーや企業と複業人材のマッチングを実施してきた。
 ただ、地元での認知度はいまだ低く、マッチング事業に参画したのは6社。三島市の担当者によると「取り組みは知っていても、様子見の企業が多い」と言う。商議所のワンストップ窓口で勧めるなどして浸透を図り、構成機関の拡大やより多くの地域企業の参画が本年度の課題だ。
 コロナ禍の初年度は、オンラインによる企業と複業人材の交流やマッチングが中心だったが、本年度から直接対面が本格化する。複業人材として市内の企業と契約した60代男性は「最初はオンラインで選択肢を広げられるが、結局は対面での印象が大事。企業課題や社員の雰囲気などを理解する上で、オンラインとリアルの組み合わせの利点は大きい」と実感を語る。
 事業はコロナ禍を経て人的交流が活発化する本年度が勝負と言える。人材育成の場を求める大企業と地元中小企業の連携強化や、リスキリング(学び直し)、地域の大学と連携したUIターンやインターンシップなど、展開の幅は大きい。本事業をきっかけに若手スタートアップ経営者の移住も相次いでおり、地元企業とスタートアップの連携が生まれそうな機運もある。
 同信金のアドバイザーを務めるうさぎ企画(長泉町)の森田創代表は「コロナ禍を契機に複業人材が増えた。生活は日常に戻りつつあるが、いっときの流行ではなく起業支援モデルの成功が続いていくことが重要」と見据える。
 (東部総局・菊地真生)

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