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テーマ : 森町

緑茶輸出 最高を更新 北米やアジア向け好調 伸びは鈍化、先行き不透明

 北米やアジア向けの緑茶輸出額が増加基調を維持している。財務省貿易統計によると、2022年の輸出額は前年比7.1%増の218億8742万円、輸出量は1.3%増の6262トンと過去最高を更新した。粉末タイプの商材需要が堅調で、円安も押し上げ要因となった。ただ、ロシアのウクライナ侵攻などが世界経済に影を落とし、過去2年と比較して伸び率は鈍化しており、先行き不透明感が漂い始めている。

緑茶の輸出量と輸出額の推移
緑茶の輸出量と輸出額の推移

 年初こそ好調だったが、ウクライナ侵攻で物価高が進んだ欧州連合(EU)向けの出荷が減退した。輸出量全体でも伸び悩み、9~12月は4カ月連続で前年を割り込んだ。輸出額の伸びは、円安に振れた為替影響に支えられた面が強い。
 輸出先の金額順は、米国が1・7%増の104億8456万円で全体の半分弱を占めた。2位の台湾が18億8483万円(10・6%増)、ドイツ17億5619万円(13・1%減)と続いた。
 粉末緑茶や抹茶など「粉末状のもの」の輸出額が全体の67・2%と高水準を保った。特に米国向けでは75・9%を占め、ラテなどの飲料や健康食品といった幅広い用途で使われているとみられる。
 新型コロナウイルス禍からの経済復調が続く東南アジア諸国連合(ASEAN)では健康意識の高まりなどを背景に需要が伸長。域内主要国のタイ(37・5%増)、マレーシア(26・0%増)、インドネシア(39・8%増)への輸出額が大幅に増加した。
 県茶商工業協同組合の佐々木余志彦理事長は、欧州での高級茶需要減退や円安の落ち着きなどを懸念点としつつ「海外での日本食に対する信頼は高い。健康需要に応えて販路開拓に取り組む必要がある」と話す。

静岡県内 有機茶づくり注力
 輸出拡大に向け、県内製茶会社は海外からの引き合いが強い有機茶生産に力を注いでいる。県や国の補助制度を活用しながら、茶農家や異業種と連携して販路開拓に挑む。
 おさだ製茶(森町)は生産体制を整え、海外のバイヤーとの関係を深めるなど輸出を拡大してきた。2018年度時点で売上高の7%だった輸出額は、22年度は20%強に達する見込みという。
 22年度は国の「しずおか有機茶バリューチェーン構築事業」に採択され、丸泉砂川共同製茶組合(浜松市天竜区春野町)と連携して抹茶原料のてん茶生産を進めている。棚式の設備で栽培し、高級抹茶を輸出する方針で、長田夏海社長は「付加価値のある有機茶を海外に売り出し、日本茶の魅力を伝えていきたい」と話す。

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