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テーマ : 森町

2005年完成の清水庵原球場、新たな歴史へ/名物「ちいちい餅」/三池平古墳とJ-STEP【わたしの街から】

 東名高速道の清水インターチェンジ(IC)や新東名高速道の清水いはらICなど、車移動の要所を持つ静岡市清水区の庵原地区。かんきつ類などの農作物生産が盛んで自然豊かな同地区には、清水庵原球場や清水ナショナルトレーニングセンター(J―STEP)、県指定史跡の三池平古墳があり、スポーツや文化の地域資源も豊富だ。上空から見た清水庵原球場=8日、静岡市清水区庵原町(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)

 静岡市清水区の新東名高速道清水いはらインターチェンジ(IC)のほど近く。走らせる車の窓を開けると聞こえてくる球音の元を探せば、高台の上にナイター照明の設備が見えた。同区初の市営球場として作られた清水庵原球場だ。完成以来、高校野球をはじめ多くの試合が行われてきた球場は、来季からプロ野球の2軍ウエスタン・リーグに参入が内定している「ハヤテ223(ふじさん)」の本拠地となる。静岡市清水区 庵原地区
 同球場が完成したのは2005年。内野固定席4千人、外野芝生席6千人、ナイター照明6基の 設備を備え、小学生から社会人までのさまざまな大会で使用されてきた。旧清水市時代、県内の主要な市では珍しく、地元に本格的な球場がなかったため、大きな大会の誘致が難しかった。「子どもたちがレベルの高い試合を見ることが難しい状況を変えよう」と地元の野球関係者らが署名を集めるなどして市に働きかけ、建設に至ったという。
 芝生は冬でも緑になるよう整備。国内の球場全体でもさほど多くないという。9月の後半に冬芝の種をまくと、夏の芝が枯れてくるころには青い冬芝が育つ。選手が気持ちよくプレーでき、キャンプやプロ野球選手の自主トレなどでも利用され、年間250日ほど稼働している。
 「ハヤテ223」の本拠地化を受け、日本野球機構(NPB)仕様に合わせて防球フェンスの新設やネットのかさ上げなどの施設改修が実施される予定だ。「プロ選手の一流のプレーを間近で見ることで野球はもちろん、スポーツをやりたいと思う子どもたちが増えてくれたらと思う」と関係者らが期待を込め、受け入れ体制を整える同球場。その歴史に新たな1ページが刻まれる日も近い。
 地域のシンボル 三池平古墳とJ-STEP
 三池平古墳とJ―STEP 4世紀後半の築造とされる前方後円墳「三池平古墳」。今年9月には、台風15号による被災や新型コロナ禍を乗り越え、4年ぶりに行われた「古墳まつり」の会場になるなど、文字通り地域の人々に親しまれている。祭りでは、県指定史跡の古墳の上で子どもたちが歌を披露。周辺では食べ物の店が出るなどして盛り上がった。全長65メートルの古墳を上空から見ると、はっきりと鍵穴の形が見え、太古のロマンも感じられる。
 隣接地には2001年4月に完成したスポーツ拠点「清水ナショナルトレーニングセンター(J―STEP)」があり、モダンな建物と青々とした芝生が対照的。敷地内のジョギングコースは地域住民が朝夕散歩する定番コースになっている。
 地域づくりを進める「いほはらの国づくり倶楽部」の山岸克久代表(75)は「どちらも庵原地区のシンボルであり誇り」と胸を張る。近くに道の駅を誘致する構想もあり、社会実験などが続けられている。
 逸品名品 和菓子の定番 「ちいちい餅」
 清水名物の「ちいちい餅」
 清水名物として知られる「ちいちい餅」。清水区内の和菓子屋では定番中の定番ながら、看板商品として毎日作る店は少なくなった。同区庵原町の1931年創業の老舗菓子店「庵昇堂(あんしょうどう)」では、今でも毎日店内で一番目立つ場所にあるショーケースに並べられ、住民に愛される。
 ちいちい餅は別名「ちゅうちゅう餅」とも呼ばれる大福餅。形は丸ではなく、小さなネズミのように見えることからその鳴き声をとって名付けられたとされる。長さ8センチ、幅3センチ程度の庵昇堂のちいちい餅の特徴は、業務用の米粉ではなく、東北産のもち米を毎日蒸してついて一から皮の餅を作ること。こし餡も3種類の糖類を加えることで上品な甘さに仕上げている。
 彼岸の時期には過去には1日千個作ったことも。3代目の望月宣利さん(54)は「地域のお年寄りや子どもたちがおやつ感覚で買っていく」と話す。

(清水支局・大村花、坂本昌信 写真部・久保田竜平)

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