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核の恐怖 古里に訴え 広島在住、静岡県出身者の「県人会」発足40年【戦後78年 しずおか】

 広島在住の静岡県出身者らで組織する「広島静岡県人会」が今年、発足40年を迎えた。会長は元ヤマハ社員の柴田禎司さん(79)=広島県廿日市市=。「原爆の日」を前に「8月6日は平和の尊さや核兵器の恐ろしさを考える1日にしてほしい」と古里へ訴える。

 同会は1983年発足。元プロ野球広島で同年主力に定着した長嶋清幸さん(61)=自動車工高(現静岡北高)卒=を支援する本県関係者の後援会設立を機に、誕生した。
 広島市で開かれる全国都道府県対抗男子駅伝の本県代表の応援に力を入れていて、選手団の慰労会開催のほか、レース会場周辺で本県の特産品販売も実施してきた。森町・天宮神社の国指定重要無形民俗文化財「十二段舞楽」の保存会が2015年に厳島神社で舞を披露した際は同神社に駆け付けた。柴田さんは「郷土の人々の活躍は励みになる」と目を細める。
 柴田さんは浜松市中区海老塚出身。浜松北高卒業まで本県で過ごした。大学卒業後の1968年にヤマハに入社し、初任地が広島だった。2016年に現職米大統領として初めてオバマ大統領(当時)が広島を訪れた際、オバマ氏と抱擁を交わし世界へ発信された森重昭さんも同僚だったという。
 その後は物流部門を中心に歩み、浜松での勤務はなく04年に退社。妻礼子さん(75)の古里に居を移し、現在は広島・上野学園ホールのコンサート運営を手がける会社の社長を務める。
 広島が第二の故郷となり、平和や非核について考える機会が増えた。それだけに、核兵器の影をちらつかせるロシアのプーチン大統領の発言に対し、「核の恐ろしさに思いを巡らせることができたならば、あんな言葉は絶対に出てこないでしょう」と怒りを込める。
 今年も8月6日が巡ってくる。「自分事として捉えるのは難しいかもしれないが、残酷な歴史があったという事実にこの日だけでも目を向けてほしい」。静岡県人であり、広島県人でもある柴田さんの言葉は熱を帯びた。
 (下田支局・伊藤龍太)

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