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テーマ : 森町

記者コラム「清流」 「アクロス」の物語

 2000年代に“地震予知の新兵器”と期待され、森町で稼働していた気象庁気象研究所の地下構造探査システム「アクロス」が老朽化のため撤去される。プレート境界の監視は困難だったが、地震波速度の変化観測などで成果を挙げた。
 静岡大などの研究グループは、実際に巨大地震が発生した後のデータにも注目していたが、幸か不幸か、アクロスの設置期間に地震は起こらなかった。老朽化に伴い、維持費などの観点から継続稼働が困難になり、研究者にとって消化不良に終わった側面もある。
 文部科学省が8月に公表した科学技術指標では、注目度の高い論文数の国別順位で、00年代にトップ5に位置した日本は13位まで後退した。森町のアクロスの物語は、日本の科学技術分野の課題を一つ浮き彫りにした気がしてならない。
(細江支局・大石真聖)

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